<社説>国政選挙投票率低迷 主権者教育の場広げたい

 国政選挙の投票率が低落傾向にある。全国的に5割台半ばの投票率で推移するが、沖縄も例外ではない。政治参加の権利を放棄し、政治の決定を白紙委任してしまうことは民主主義の根幹を揺るがす。

 若い世代に政治参加の意義を再確認させる主権者教育の取り組みを、さまざまな場面で広げていく必要がある。
 これまで高い投票率を誇り政治意識が高いといわれてきた沖縄だが、近年はむしろ全国平均の投票率を下回ることが多くなっている。2016年の前回参院選で沖縄選挙区の投票率は54・46%と、全国平均の54・70%を下回った。
 年齢別に見ると全国と同様に世代が若くなるほど投票率が著しく低くなり、県選挙管理委員会の抽出調査で20代の投票率は37・98%にすぎなかった。30代以下の世代は半数以上が投票に行っていない。当選した議員が本当に有権者を代表しているのか、正当性が疑われかねないほど危機的な状況だ。
 04年の参院選から期日前投票が導入され、13年にはインターネットを利用した運動が解禁されるなど、制度の見直しが重ねられてきた。それでも投票率は低下傾向が続く。やはり、政治に対する無関心や不信を抱かせてしまっている根本の問題に向き合わなければいけない。
 公約を簡単に翻したり、異なる意見を排除して感情的な言動に走ったりと、政治家の質の低下は目に余る。魅力ある将来像や説得力のある対立軸を示すことが、政治家や政党には求められる。
 一方で、「どうせ何も変わらない」と決め込んで、投票に行かない有権者の認識も改めなければならない。
 今回の参院選の争点に、年金制度や社会保障の在り方がある。消費税率10%への引き上げを前に、有権者としてその是非を示すことが許された最後の機会でもある。
 高齢者や現役世代だけの関心事ではない。次の世代を担う若者たちの負担や将来にもつながる問題だ。後になってこんなはずではなかったと言っても取り返しがつかない。政治は生活と遠いように感じても、必ず有権者に跳ね返ってくると肝に銘じたい。
 戦前は男性だけでしか普通選挙が実施されず、女性の参政権が認められたのはようやく戦後の新憲法になってからだ。さらに、米国の施政権下に置かれた沖縄は憲法が適用されず、長らく国会に代表を送ることもできなかった。
 日本復帰2年前の1970年に沖縄で戦後初の衆院選と参院選が実現し、投票率は83・64%を記録した。国政参加選挙である。政治参加の権利は当たり前に与えられたものではなく住民自ら求めてつかみ取ったものだった。
 戦後の沖縄の国政参加は実現からようやく半世紀を迎えるところだ。本土と異なる政治や自治の体験を、主権者教育として次の世代に確実に継承していくことが必要だ。