<社説>レンタカー業者急増 移動手段の分散へ連携を

 県内のレンタカー事業者数が10年間で2・4倍に増加している。沖縄観光の活況ぶりを象徴しているが、マイナス面もある。右肩上がりの観光客と連動して車両数が増え続ければ、いずれ地域の許容量を超える。渋滞の悪化、事故の増加など県民生活への影響が深刻化する恐れがある。

 レンタカー業界では価格競争に拍車が掛かり、整備不良や事故時の補償やサポートが十分ではない事業者が混在するといった課題が生じているという。業界の課題解決と並行して、レンタカーに依存しない交通基盤の整備に取り組む必要がある。
 りゅうぎん総合研究所の調査リポートによると、県内のレンタカー事業者数は2007年度の290社から17年度には703社にまで増加した。直近の1年間は月に10社ずつ増えるなど、増加ペースは加速しているという。
 車両数も07年度の2万439台から17年度に3万7327台と10年間で約1・8倍に増えている。この間の入域観光客数の推移を見ると、07年度に589万人だったのが、17年度には約1・6倍の958万人となった。観光客の増加がレンタカーの需要を押し上げてきた。
 事業者急増の背景には、中古車を用いて1台からでも許可申請ができる参入障壁の低さもある。近年は格安料金を売り物にした、県レンタカー協会に未加入の小規模事業者の参入が顕著だという。
 全国最低の価格は利用者にとって恩恵である半面、保険加入や車両整備の安全を担保した適正な価格設定なのか懸念は拭えない。薄利多売の「豊作貧乏」では県全体で見た経済効果は薄い。禁止行為である那覇空港内でのレンタカー受け渡しを行う事業者も現れ、秩序維持も課題だ。
 大型バスで移動する団体旅行から個人やグループ型へと旅行者のニーズが変化し、レンタカー需要は一層高まる。高級外車の取り扱いなど、事業者による差別化の努力は、観光客の楽しみ方の幅を広げることに貢献してきた。
 他方、沖縄の交通手段がレンタカーだけだというイメージが定着すると、運転免許証を持っていなかったり、慣れない土地で運転をしたくないと思ったりする観光客から敬遠される可能性がある。りゅうぎん総研は「観光地として選択肢から除外されてしまう」と懸念を示している。
 行政と民間が連携してレンタカー以外にも移動手段の分散化を図り、公共交通の利便性や輸送力の向上に取り組むことが持続可能な観光地づくりにつながる。
 タクシーの利用促進も重要だ。乗客離れに悩む路線バスにとっては、観光客の需要を取り込むことが経営の安定に寄与するはずだ。外国人にも分かりやすいバスの乗り方や行き先表示の改善はもちろん、観光客の移動ニーズに合わせた柔軟な路線運行も官民で模索してもらいたい。