<社説>NIE全国大会 深い学びに新聞の活用を

 学校などで新聞を教材として活用する「NIE(教育に新聞を)」の実践報告をする第24回NIE全国大会が栃木県宇都宮市で開かれた。「深い対話を育むNIE」を大会スローガンに、教師や新聞社の関係者らが、教育現場での新聞の実践的な活用法を学んだ。

 新しい学習指導要領は「主体的・対話的で深い学び」を全ての学校段階で展開するよう求めている。子どもたちが新聞を通じて社会に目を向け、対話の材料を提供することで成長につなげる紙面作りを目指したい。
 記念講演では戦後の国語教育をけん引した故・大村はまさんの元生徒で作家の苅谷夏子さん(大村はま記念国語教育の会事務局長)が新聞を活用した授業の実践例を紹介した。大村さんは同じ事柄の記事を新聞4紙で読み比べ、表現の違いを見つける授業をしている。「比較するものを探し、考える人になる練習をする」と述べ、新聞の活用で思考力が養われると強調した。
 新聞を読むことは学力の向上につながっているとの調査が先日、報告された。今年の全国学力テストの児童生徒アンケート結果を文部科学省が分析したところ、新聞を読む頻度が高いと、英語を含む全教科で平均正答率が向上する相関関係が見られた。
 アンケートでは「新聞を読んでいますか」との質問に「ほぼ毎日」「週に1~3回程度」「月に1~3回程度」「ほとんど、または全く読まない」の選択肢を用意し、それぞれを選んだ子どもの平均正答率を比較した。
 小中学校のいずれの教科でも、「ほぼ毎日」の平均正答率が最も高く、頻度が下がるごとに成績は下がっていった。特に小学校国語では「ほぼ毎日」が73・2%だったのに対し、「全く読まない」が61%と全教科の中で最も差が開いた。
 2020年度にセンター試験の後継として導入される「大学入学共通テスト」では知識の質や表現力を見るために、多様な資料から読み取った情報を基に考え、表現できるかが問われる。今年の全国学力テストでも、それに基づいた設問が出された。沖縄は、小学生では正答率が全国平均を上回ったが、中学生は国語、数学、英語の全教科で平均を下回った。
 新聞の特徴の一つは政治、経済からスポーツ、芸能まで幅広い分野の記事が一覧できることである。子どもたちが主体的に記事を選び、読み、考えることが深い学びにつながるのであろう。
 今、特にインターネット上では事実と違う情報が氾濫し、差別を助長する言説も横行している。そんな中で育つ子どもたちには今まで以上に情報を取捨選択する力と思考力が求められている。その力を養うために授業で新聞を活用してほしい。県内でもさまざまな授業実践が重ねられている。学校現場でのNIEの取り組みを広げていきたい。