<社説>米軍機事故の対応策 危機管理は政府の責務だ

 消防隊員らへの安全配慮を欠いては県民の生命、財産は守れないと肝に銘じたい。

 県内消防で米軍機事故への対応がいまだ整っていないことが本紙の調査で判明した。県内全18消防局・本部のうち7本部に放射線災害に対応できる防護服がない。うち1本部には放射線測定機器すら備えられていない。
 消防などの装備品が改めて重視されるようになったのは、2004年8月に発生した米軍ヘリ沖国大墜落事故である。
 事故の際、ヘリに搭載されていたのが放射性物質ストロンチウム90だった。墜落現場に飛散したとされる。機体や土壌など全てを米軍が持ち去ったため、県側は調査できなかった。実態は不明だが、本紙が情報公開請求で得た内部資料によれば「気化」したことが判明している。
 放射性物質であるストロンチウム90は体内に入ると骨に蓄積される。骨のがんや白血病の原因ともなる物質だ。
 専門家は「燃え上がると微粒子となり、大気中に飛散する。内部被ばくの恐れがあり、近くの住民が一粒吸い込むだけで被害があり得る」と指摘している。
 事故当時、現場で対応した消防隊員や警察官は被ばくリスクを知らないまま消火活動に従事していた。
 発生した危険は、教訓化されなければならない。消防装備の整備を怠ったために危険業務に従事する公務員の安全を脅かすことがあってはならない。
 沖国大の事故発生時の米軍の対応を振り返っても、その大切さが分かる。事故発生直後、米軍は機体に放射性物質を含むことすら沖縄側には伝えていない。存在を明らかにしたのは墜落事故から3週間もたってからである。
 米軍は「(人体への)懸念がなかったから公表が遅れた」と言う。しかし普天間基地所属の米軍救難消防隊員には検査をしていた。墜落の3日後から行った機体回収の際も米軍側は完全防護服で作業をしているのである。米軍は危険を熟知していたはずだ。
 宜野湾市の消防隊員には放射能検査もなされず、検査の必要性すら伝えられていない。もちろん、市民も危険を知らなかったということだ。
 16年にも本紙は同様の米軍機事故の対応調査をしている。11本部に防護服がなく、3本部に放射線測定器がなかった。
 今回の調査で4本部で防護服が整備されたが、防護服を着用せぬまま、放射線量を測定するという、ちぐはぐな対応が7本部であり得るということだ。
 予算措置などが整備の壁になっているようだが、そもそも望みもしない米軍施設のリスク管理を、自治体予算で賄うのは筋違いだ。基地の提供責任者である政府に早急な対応を求めたい。政府が県民生活の安全を守る義務を放棄することは許されない。