<社説>熱中症に注意 十分な水分摂取忘れずに


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 旧盆が終わったとはいえ、まだ8月半ば。沖縄は最高気温が30度を超す真夏日が続く。日中の厳しい日差しや蒸し暑さへの警戒を忘れず、熱中症の予防に努めたい。

 県内では7月中旬に80代男性が農作業中に倒れ、病院搬送後に死亡が確認された。沖縄で熱中症による死者が報告されるのは統計を始めた2007年から8例目で、17年以来2年ぶりとなった。玉城デニー知事が今月9日の記者会見で熱中症の予防を呼び掛けたところだ。
 熱中症は、脱水症状で汗が出なくなって体温の調節機能が利かなくなったり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたりすることで起こるさまざまな症状を指す。始めは目まいや立ちくらみがあり、次第に頭痛、吐き気、だるさなどが現れる。早期に適切な処置を取らなければ、けいれん、筋肉の硬直、意識障害など命の危険がある重大な症状を来してしまう。
 高温、多湿の場所に長い時間いると熱がこもって体温が上がり、熱中症を起こしやすい。外出時には帽子や日傘を利用して、直射日光にさらされるのを避けることが重要だ。多く汗をかく場所では小まめに水分と塩分を取るように心掛けてもらいたい。
 乳幼児や高齢者は炎天下の外出は控えたい。高齢者は体の水分量が減ってきて暑さや喉の渇きを感じにくくなっているため、熱中症の自覚がないまま症状が重くなってしまう事例が多いことを意識する必要がある。
 屋内だから安全ということはない。4月29日~8月11日に県内で581人が熱中症で救急搬送されているが、このうち34%の199人の症状は住居で発生している。冷房や扇風機で通気を良くして熱を逃がし、屋内であっても水分を十分に摂取することを忘れてはならない。
 建設現場など猛暑の中で作業に当たる人たちは特に注意が必要だ。気掛かりなのは県内で労働災害の件数が高止まりの傾向にあることだ。背景には人手不足があるというが、長時間労働や安全管理の不備で命を危険にさらしてはいけない。
 屋外作業に当たる従業員には休憩と水分補給に気を配り、気温が一定の高さになったら作業を止めるなどの対策を企業は徹底してほしい。
 夏休みを利用してさまざまなレジャーに繰り出す時期だけに、遊びに夢中になる子どもたちには休憩を取らせるなどの声掛けをすることだ。海水浴やプールは大量に汗をかいていると気付きにくいので、長く日に当たらず、十分に水分を取ることが必要だ。
 気分が悪くなればちゅうちょせず日陰や冷房のある涼しい場所に避難し、休むことが第一だ。自力で水分を取れないような人がいれば、すぐに救急車を呼んで医療機関に搬送する。予防策と応急処置を知り、沖縄の長い夏を有意義に過ごしたい。