<社説>インフラ整備の遅れ 沖縄予算の所要額確保を

 政府の沖縄関係予算で、県や市町村が使途を比較的自由に決められる沖縄振興一括交付金が減額されているため、県内のインフラ整備事業などに大幅な遅れが生じているという。県民の生活や経済活動への影響が懸念される。

 同交付金は2019年度まで3年連続で減少している。事業の進捗(しんちょく)が遅れているのは社会資本整備、農山漁村地域整備などの4分野で計40事業以上に上るという。
 沖縄本島北部で渓流崩壊による土石流発生や洪水を防ぐための事業は、17年度予定だった完成が8年遅れる見通しだ。北谷町や東村での堤防整備なども大幅に遅れている。災害対策が後手に回るような事態はあってはならない。
 橋梁の老朽化対策は21年度に補修を終える計画だが、進捗率は58%にとどまり完了は27年度にずれ込むという。災害時などの安全に問題はないのか、気掛かりだ。
 県営住宅では補修の遅れで建物の剝離・剝落が起き、安全基準を満たしていないエレベーターが改修できていない。農地整備では赤土流出対策が遅れ、経済的な損失に加え、自然環境や観光への影響も心配されている。
 沖縄振興一括交付金は沖縄振興特別措置法に基づく。県の要望を受けて民主党政権が12年度に創設した。ソフト事業対象の沖縄振興特別推進交付金とハード事業対象の沖縄振興公共投資交付金がある。だが減額が続きハード交付金は19年度で532億円と12年度から31%減少した。
 インフラ事業の遅れに対して市町村は住民生活への影響を訴えている。水道施設や学校施設の整備にも遅れが出ており、指摘は当然のことだ。
 沖縄関係予算について安倍晋三首相は13年末、仲井真弘多知事(当時)に現在の沖縄振興計画が終了する21年度まで年3千億円台を確保すると約束した。だが米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する故翁長雄志前知事の就任以来、減額され、18年度からは3010億円とほぼ「底値」で推移している。
 昨年末の19年度予算編成では、県を通さず市町村に直接交付できる予算を新設し、国直轄分の割合を高めた。辺野古新基地反対を翁長氏から継承する玉城デニー知事へのけん制だろう。基地受け入れと関連付けるような予算対応は民主主義を汚し、財政規律にも反する振る舞いだ。
 そもそも政府の沖縄関係予算とは、国庫支出金や国直轄事業などを沖縄分だけ「沖縄振興予算」として内閣府が取りまとめているものだ。高率補助などの特例措置がある一方、予算が別枠で沖縄に追加されているわけではない。
 県は政府の20年度沖縄関係予算の概算要求で3500億円程度の確保を求めている。政府はインフラ整備事業の遅れを最大限考慮し、所要額を措置すべきだ。県も年末の予算編成に向けて粘り強く折衝に当たってほしい。