<社説>あおり運転 啓発と厳罰化が必要だ

 茨城県の常磐自動車道であおり運転をして無理やり車を停止させ、運転していた男性を殴ってけがをさせたとして、男が傷害の容疑で逮捕された。同じ車によるあおり運転は愛知県と静岡市でも確認されており、男が同様の行為を繰り返していた疑いもある。

 あおり運転は2017年に神奈川県の東名高速であおられて無理やり停車させられた夫婦が死亡した事故によって社会問題化したが、その後も起こり続けている。茨城県の事件では、被害男性の車に搭載されていたドライブレコーダーの記録から、犯行の一部始終が明らかになった。
 ドライブレコーダーの設置など自衛の手段を図ることも重要だ。あおり運転の厳罰化はもちろん、危険な運転をしないための啓発、教育を強化する必要がある。
 あおり運転は前の車に極端に接近したり、割り込みや幅寄せなどの進路妨害をしたりして相手に恐怖感を与え、停車させる目的で行われることが多い。前の車との距離を詰め過ぎる道交法の「車間距離保持義務違反」で18年に摘発されたのは前年の倍の約1万3千件に上った。日本自動車連盟(JAF)の調査では、運転中に後ろからあおられた経験のある人は半数を超えている。決して一部のドライバーだけの問題ではない。だがあおり運転を厳罰化するのは簡単ではない。
 道交法では車の運転によって著しく交通に危険を生じさせる恐れがある運転者を「危険性帯有者」として免許停止処分とすることができる。しかし免停は最長180日だ。
 18年に免停となった事案は全国で42件で過去最多だったが、あおり運転の発生数からみると、決して多くない。神奈川県で夫婦が死亡した事故では、停車後に別のトラックに追突されたのが直接の死因だったことから、車を止めた行為が危険運転致死傷罪に当たるかが大きな争点となった。危険運転罪が創設された2001年当時は想定されていなかった事態だった。
 茨城県のあおり運転事件では容疑者の男は高速道路で前をさえぎる形で車を停止させており、後続の車を巻き込む大きな事故につながる恐れもあった。あおり運転は命を脅かす極めて危険な行為である。悪質なドライバーは運転免許を直ちに取り消し、長期間取得できないようにするなど、公道から一掃する仕組みを早急に構築すべきだ。
 あおり運転はちょっとしたきっかけが怒りに火をつける形で起こる場合があり、欧米では「ロードレイジ(路上の激怒)」といわれる。ハンドルを握ると性格が攻撃的になる人もいる。免許取得時や更新時の講習などの機会に、運転中の心理状況を学び自己制御を身につける訓練をすべきではないか。
 あおり運転をなくすため、社会全体で取り組まなければならない。



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