<社説>日韓関係の悪化 理性的対応で関係改善を

 昨秋の韓国人徴用工訴訟判決に端を発する日韓関係の悪化は泥沼の様相を呈してきた。韓国大統領府が22日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めたのである。

 既に関係悪化の影響は県内でも顕在化している。韓国の航空6社は、韓国と沖縄を結ぶ航空路線で運休・減便を発表した。ソウル、釜山、大邱の3都市への週71便が来月以降は2都市で週35便前後に半減する見込みだ。
 韓国客の新規予約が入らず、県内旅行社やホテルも予約のキャンセルが続いているという。韓国人観光客は2018年度は台湾、中国に次ぐ規模だ。55万3800人が県内を訪れている。
 那覇市内のホテルの予約担当者は「韓国側で日本旅行に行きにくい雰囲気があると聞いている」と話す。
 全国で同様な傾向が明らかになった。観光庁が発表した7月の訪日外国人旅行者数の推計によれば、韓国人客は前年同月比7・6%減の56万1700人となった。
 韓国からの観光客は近年、全体の約2割に上るという。昨年1年を見ても全国で753万人が訪日している。消費額も5881億円と、いずれも中国に次ぐ2位だ。
 隣接する九州地方は韓国からの観光客が多く、大分県では宿泊客の6割を占める。
 航空路線の運休や減便は相互理解のきっかけを絶やすことにつながりかねない。隣国とのより良い関係をたゆみなく促進するためにも民間交流は欠かせない。冷え込む一方の両国関係の打開策を両政府は探るべきだ。
 韓国の世論調査会社の調べでは「今年、日本に旅行する考えがない」と回答した人は82%に上った。日本への旅行自粛ムードが広がっていることを裏付けている。日本製品の不買運動も拡大し、ビールは輸入額で「不動の1位」から3位に転落している。
 両国の社会を覆う「嫌日」「嫌韓」といった世論が、こうしたムードを醸成している事態は無視できない。
 国内でも共同通信が今月実施した全国電話世論調査で、輸出管理上のホワイト国(優遇対象国)から韓国を除外した対応について「評価する」と回答したのは68・1%、「評価しない」の20・1%を大きく上回った。
 日本の植民地支配に根源がある徴用工問題は、歴史の反省抜きに法律や条約を論じても解決するとは思えない。
 安倍晋三首相は今年の戦没者追悼式でもアジア諸国への加害責任に触れなかった。改めて歴史認識を説くことで、複雑化した日韓関係再構築の糸口を見いだすことができるのではないか。
 韓国側は国際社会の一員である以上、国際法を順守する姿勢を示すべきである。
 対抗措置の応酬は日韓両国にとって何のプラスにもならない。両国政府に理性的な対応を強く求めたい。