<社説>東京パラリンピック 開催の意義かみしめよう

 東京パラリンピックの開幕まで1年となった。障がいのあるトップアスリートが世界中から日本に集まる、またとない機会だ。より多くの人に関心を持ってほしい。

 パラリンピックは障がい者スポーツ最大の国際総合大会だ。夏季大会は1960年、冬季大会は76年に初開催された。現在は夏季と冬季でいずれも4年に1度、五輪の開催都市で開かれる。東京大会は22競技に約4400人が参加し、史上最大規模となる。
 開催準備は着々と進んでいる。バリアフリーに配慮された競技会場が完成し、リハーサル大会も本格化している。22日には観戦チケットの1次抽選申し込みも始まった。
 だが五輪に比べると必ずしも盛り上がりは十分とは言えない。チケット販売初日の公式サイトへのアクセスは五輪が約130万件だったのに対し、パラは約11万件にとどまった。パラスポーツへの国民の関心をどう高めるか、取り組みが求められている。
 一方、出場を目指す国内のアスリートらは大会後への不安を感じているようだ。
 共同通信が行った主要選手へのアンケートによると、回答者の77%が大会閉幕後に不安があると答えた。その内容では「国民の関心の維持」が63%に上り、「待遇面の維持」(48%)なども高かった。
 2013年の大会招致決定後、競技者らへの国や企業の支援は拡大しているが、一過性のものに終わらせないための知恵を絞りたい。
 障がいのある選手たちが自らの困難を乗り越え、さまざまな競技で世界の高みを目指すその姿は見る人たちに多くの感動と勇気を与える。
 16年のリオデジャネイロ・パラリンピックでは、沖縄の仲里進選手らの車いすラグビー日本代表が初のメダル(銅)を獲得し、同じく県内から出場した車いす陸上の上与那原寛和選手は1500メートル(4位)と400メートル(6位)で入賞を果たした。世界の舞台で躍動する2人から多くを学んだ県民も多いのではないか。
 開幕まで1年に迫った先週末、全国でメダリストらとの交流イベントや競技体験会などが開かれた。多くの子どもたちがパラ競技への理解を深めるとともに、障がい者の日常に思いをはせたはずだ。
 東京都は、パラ出場経験のある選手を小中学校などに派遣し、競技を披露したり講演したりしている。大会を契機に県内でもぜひこうした取り組みを進めてほしい。
 少子高齢化やグローバル化が進む中での東京大会は、障がい者と健常者が支え合う「共生社会」の実現や多様性の尊重を世界の人々とともに考える貴重な機会にもなる。
 東京五輪・パラリンピックはスポーツを通して国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)を達成することを目指している。SDGsの理念である「誰一人取り残さない」社会に向け、沖縄の立場からも開催意義をかみしめたい。