<社説>米軍ヘリ返還地着陸 訓練空域の縮小が必要だ

 米軍北部訓練場のまやかしの負担軽減が改めて明るみに出た。

 4日、米海兵隊のUH1Yヘリコプターが国頭村安田の北部訓練場返還跡地にあるヘリ発着場(ヘリパッド)に離着陸するのが確認された。事前通知はなく、沖縄防衛局は事実を把握していなかった。
 今回は市民の目撃があったが、人知れず常習的に返還地の施設を使用していないかという疑念がぬぐえない。
 まして一帯は、やんばる国立公園としてユネスコの世界遺産登録を目指す森林地帯だ。ノグチゲラやヤンバルテナガコガネなど貴重な固有種が生息する。生態系に悪影響を及ぼす米軍機の離着陸や低空での飛行は、排除されなければいけない。
 一連の問題の根底にあるのが、北部訓練場の一部返還後も、返還地の上空に設定されている訓練空域が縮小されていないことだ。地上での演習はなくなったように見えながら、日本政府が上空を米軍に提供し続けている。
 返還後も変わらず上空を自由に使用できるため各種の飛行訓練が実施される。これが今回の返還跡地への離着陸にもつながっている。日本政府は国立公園への無断着陸に強く抗議すると同時に、返還地上空に維持されている訓練空域の縮小・返還を求めるべきだ。実効性のある再発防止策が求められる。
 北部訓練場の面積7513ヘクタールのうち4010ヘクタールが日本に返還されたのは2016年12月だった。菅義偉官房長官が「本土復帰後最大の返還」と繰り返すなど、政府は沖縄の基地負担軽減の実績としてことさらに強調してきた。
 一方で、返還後も残る訓練場内に、ヘリのほか垂直離着陸輸送機MV22オスプレイなどが使用する六つの発着場を新たに建設することが、返還の条件となった。
 発着場が隣接することになる東村高江区などが強く反対していたにもかかわらず、政府は機動隊を投入してまで建設工事を強行した。
 新たな発着場の完成後はオスプレイなど米軍機が頻繁に使用し、昼夜を問わず集落上空を飛行して騒音をまき散らしている。17年10月には高江の民間牧草地にCH53Eヘリが不時着・炎上する事故が発生した。
 生活環境の悪化という地元の懸念は現実となり、墜落や森林火災の危険にさらされる。「過半返還」の名の下に基地機能の強化と負担の増大が進んでいるのが実態だ。
 そこに来て、返還跡地のヘリパッドを使用した今回の事態だ。民間地という認識が米軍に薄く、いつでも使える施設として訓練を運用しているとすればもっての外だ。
 政府が本気で負担軽減を言うならば、米軍のやりたい放題の基地使用に歯止めをかけ、集落の静かな生活環境と生態系の保全を徹底する必要がある。最終的には北部訓練場の全面返還しかない。