<社説>豚コレラの感染拡大 官民一丸で侵入防ぎたい

 家畜伝染病の豚コレラは感染が拡大し続けている。既に岐阜、愛知、長野、滋賀、大阪、三重、福井、埼玉の1府7県で発生が確認された。

 沖縄への侵入は何としても防がなければならない。県、市町村、養豚農家が連携し、対策を徹底すべきだ。
 豚コレラは豚コレラウイルスによって起こる豚やイノシシに特有の家畜伝染病だ。発熱や食欲減退、歩行困難などの症状が現れ、致死率が高い。治療法はない。国内では昨年9月、岐阜市内の養豚場で26年ぶりに確認された。以後、感染は広がっている。
 畜産は沖縄農業の基幹部門だ。2017年の畜産産出額は457億円に達する。内訳を見ると、肉用牛が49・9%で最も多く、豚は2番目に多い28・7%を占めている。
 万一、沖縄で発生すると、甚大な被害をもたらす。1頭でも感染すれば、まん延を防ぐため、同じ養豚場で飼われている全ての豚が殺処分されるのである。
 沖縄県内では1908年に豚コレラが初めて確認された。戦後、ワクチンの接種などで清浄化していたが、86年に再び発生している。この時は、1600頭以上が殺処分された。以来、感染は確認されていない。
 中国や東南アジアの国々の動物やそれらの肉の輸入は原則として禁止されている。豚コレラなどの悪性伝染病の発生国だからだ。
 沖縄には国内外から多くの観光客が訪れる。旅行者によって病原体が持ち込まれるリスクは決して小さくはない。
 今回の豚コレラについて、農林水産省の疫学調査チームは、ウイルスを含んだ肉が東アジアから旅行者によって不正に持ち込まれたことが発端だった可能性を指摘している。廃棄された肉を野生のイノシシが食べることで感染が広がったと考えられる。
 豚コレラの侵入を防ぐにはウイルスに汚染された肉などの流入を阻止することが大切だ。手荷物として持参する人がいるかもしれない。空港や港など、水際で何としても食い止めたい。農水省動物検疫所の役割は重要だ。
 仮にすり抜けたとしても、畜舎や運搬車両、着衣の衛生管理、餌の加熱などを徹底していれば感染は防げる。部外者を養豚場に立ち入らせないといった対策は不可欠だ。
 県内大手の畜産農家が運営するテーマパーク「アグー村」(名護市)では、国内で豚コレラが発生してから、畜舎の見学や沖縄在来種アグーとの触れ合いを休止した。監視カメラを設置して、野生イノシシの侵入に目を光らせ、関係者の出入り、消毒の状況を確認しているという。極めて適切な判断と言えよう。
 不幸にして侵入を許してしまった場合は、速やかに封じ込める必要がある。飼育する豚に異常が見られれば、軽視せずに直ちに家畜保健衛生所に通報するといった基本動作を再確認しておきたい。



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