中国共産党大会 成長と格差是正の両立を

 中国の最大の政治イベントで、5年に1度の共産党大会が開幕した。今大会で党総書記の胡錦濤国家主席(69)らが退陣し、習近平国家副主席(59)をトップとする新指導部が誕生する運びだ。

 中国は胡錦濤時代の10年で急激な経済成長を遂げる一方、格差の拡大や環境悪化、権力の一党集中による官僚汚職などの腐敗、情報化の進展に伴う国民の権利意識の拡大など、社会的、政治的な課題が次々と顕在化している。
 新指導部には中国の内政、外交を安定させ、庶民の生活レベルの底上げなど、経済成長と社会のひずみの解消を両立させる構造改革に果断に取り組んでもらいたい。
 胡氏は、今後の施政方針などを示す活動報告で、2020年の国内総生産(GDP)と国民1人当たりの収入を10年比で2倍にする所得倍増の目標を打ち出した。
 GDPは20年にも米国を抜いて世界最大となる見通しもある。ただ、これまでは大型公共投資で経済成長をけん引してきたが、ここに来て経済の減速が長期化。個人消費など内需主導経済へと転換する必要性が指摘されている。
 一方、国有企業幹部など一部の富裕層に富が偏在する現状に、国民の不満が高まっている。階層の両極化が社会の不安定化を招く懸念も指摘される。日本の尖閣諸島の国有化に反発する反日デモや暴動は、中国政府への不満のはけ口だった側面も否定できない。
 そうした意味で所得倍増目標は、中国指導部の強い危機意識の表れにほかならない。医療や年金など低所得者層向けの社会保障制度の充実と併せ、格差是正の取り組みは待ったなしと言える。
 一方、外交で胡氏はこれまで「中国は永遠に覇権は唱えない」と繰り返し強調したが、軍備増強に加え、太平洋やインド洋で海洋権益拡大を狙う政策を推進するなど、周辺諸国は警戒心を強めていることを肝に銘じるべきだ。
 特に今回初めて「海洋強国」建設を表明したが、国際社会の疑心暗鬼を招くような自国中心主義は厳に慎むべきだ。
 世界2位の経済大国に成長した中国に向けられる国際社会の視線は、不安と期待が交錯している。期待されて久しい民主化は遅々として進まず、相互信頼に基づく国際協調も道半ばだ。中国は謙虚さを備えた大国として、国際社会からの確固たる信頼を築いてほしい。