翁長市長4選/「市民は一つ」体現に期待 県の課題解決へ指導力を

 11日投開票の那覇市長選で当選した翁長雄志氏は「職員の意識改革や協働のまちづくりを理解してもらった」と当選の弁を述べた。
 村山純氏ら他候補を大差で破り、4選を果たしたのは、翁長氏の手腕に対する市民の高い評価の反映だろう。その意味で当選の弁もうなずける。
 ただ、大差で退けたとはいえ、対立候補が一定の票を得たのも事実だ。翁長氏は自らの公約を実現すると同時に、他候補に流れた票への思いもくみ取る必要がある。翁長氏が常々口にする「市民(県民)の心を一つに」を体現する行動に期待したい。

任投票
 この選挙は、得票差からも、翁長氏の3期の市政運営に対する事実上の信任投票だったと言える。
 1期目は新最終処分場の用地確保など、ごみ問題を一定の解決に導き、市役所の窓口を休日も開けた。2期目は「協働によるまちづくり」を掲げてNPOとの連携を進め、3期目はさらに「なは市民協働大学」を開講するなどした。
 任期中、市職員数を27%減らし、人件費も2割近く削減した。赤字だった市立病院を黒字化し、貯金に当たる基金の残高も3倍以上に引き上げた。行財政改革に取り組んだことも疑いない。
 来年4月の中核市移行へこぎ着けた手腕にも評価の声は高い。奥武山球場や市営住宅の建て替え、牧志・安里地区の市街地再開発、巨人軍キャンプ誘致などの実績も目覚ましい。
 今回の投票結果はこうした実績を市民が高く評価した表れと言えよう。翁長氏の得票率は投票者数の75%にも達する。驚異的な結果であり、明らかに「信任を得た」と言ってよい。
 得票率の高さは、翁長氏が沖縄固有の問題解決へ向け保革の違いを超えて行動した結果でもあろう。07年の教科書検定撤回県民大会、10年の普天間飛行場県内移設反対県民大会、ことしのオスプレイ配備反対県民大会と率先して参加してきた。県民一体の訴えへ、流れをつくった功績は大きい。
 ある意味で翁長氏は「鉱脈を掘り当てた」のだ。保守陣営が基地問題で県民の意を体して行動すれば、革新陣営の「水源」は枯れ、保守は盤石の態勢となる。それが実証された格好だ。
 今回は「自公民」対「革新」という新たな構図の選挙戦でもあった。4年前の「自公」対「反自公」から、民主が翁長氏推薦に回った点が特徴だ。今回の大勝で「自公民」路線が県内の重要選挙で繰り返される可能性もあろう。

争点設定の弱さ
 気になるのは、今回の投票率の低さだ。投票率39・43%は那覇市長選として過去2番目に低い。復帰前の65年は79・82%だから、40ポイントも下がる大幅下落だ。
 今回は争点が明確でないと言われた。久茂地小学校の統廃合問題は関心が地域に局限されがちだ。村山陣営が指摘した高い国保税も、市政というより国政の課題だ。市職員の非正規化「官製ワーキングプア(働く貧困層)」批判も広がりに欠けた。
 低投票率は候補者、政党の争点設定(アジェンダ・セッティング)機能が低下した表れにほかならない。選挙管理委員会も課題を残した。責めはわれわれ報道機関も負うべきだろう。猛省したい。
 とはいえ、翁長市政4期目は始まる。市政は課題山積だ。中核市移行は待ったなしで、県から2900項目にも上る事務が移譲される。市独自の保健所設置も必要だ。混乱は許されない。
 自公民が与党となり、市議会は与党が7割を占めるに至った。議会のチェック機能が問われることを、市議は肝に銘じてほしい。
 県都の首長は、難しい局面に立たされている沖縄のリーダーの一人だ。「最後の戦い」を公言した翁長氏には、自らの集大成として、基地問題をはじめとする県全体の課題解決へ、指導力を発揮してもらいたい。