衆院解散総選挙 各党は具体的な政策示せ


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 野田佳彦首相が年内の衆院解散・総選挙の意向を固め、政局が動き出した。民主党内からは異論も噴出しているが、党利党略でこれ以上、国政を停滞させてはならない。
 各党は、総選挙に向けた主要政策を明確化し、有権者に信を問う準備を急ぐべきだ。
 自民、公明両党は、公債発行特例法案の修正案をそれぞれ了承し、会期内の成立が確実な情勢となった。社会保障制度改革を議論する国民会議の設置も決着の見通しだ。

 野田首相が衆院解散の環境整備に挙げる3課題のうち二つが解決に向かった。残る課題は、最高裁が「違憲状態」とした衆院「1票の格差」の是正である。
 民主党は衆院選挙制度改革に関し、小選挙区の「0増5減」と、比例定数削減の両案を提出する構えだ。しかしそれでは野党の協力が得られず難航するのは明らかだ。
 「違憲状態」をこれ以上放置することは許されない。民主党が行うべきは「0増5減」案の先行処理だろう。本来は抜本的見直しをすべきだが、客観情勢は「違憲状態」を重く受け止め、「一票の格差」是正を最優先に解決するしかないだろう。
 2009年の前回衆院選で圧勝し政権を担った民主党は、消費税増税の強行など、公約を次々と覆し国民の期待を裏切った。それが国民の政治不信を倍加させる結果ともなった。
 沖縄の基地問題でも「最低でも県外」だった普天間移設の県内回帰や、オスプレイ強行配備など、県民を落胆させてばかりだ。公約違反のつけをどう払うつもりか。
 政権への返り咲きを狙う自民党はどうか。消費税増税関連法の成立をめぐっては、国民の多数が反対するなか、公明とともに民主党との3党合意を押し通した。対中国・韓国外交で強硬姿勢を強める安倍晋三総裁の言動も気になる。
 石原新党結成など第三極の動きも活発化しているが、具体的な政策の中身が見えてこない。「大連合」も提唱されているが、政策抜きでは「野合」のそしりは免れないだろう。
 この国は各分野で待ったなしの課題が山積している。日本の社会、経済システムの激変を促す環太平洋連携協定(TPP)参加の是非について各党の姿勢、具体策に注目したい。速やかに国民の審判を仰ぎ、日本再生をけん引する政党政治を再構築してほしい。