金融円滑化法期限 企業再生で地域活性図れ


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 中小企業向けの貸し付け条件の緩和などに努めるよう金融機関に義務付けた中小企業金融円滑化法(返済猶予法)が来年3月末で期限切れを迎える。
 中小企業からは期限切れ後の貸し渋りや貸し剥がし、融資条件の厳格化を懸念する声も出ていたが、金融庁は今月1日、期限切れ後も資金供給を続けるよう銀行などに求める検査・監督方針を示した。

 併せて、金融機関を通じて支援を受けた中小企業の事業を再生する「出口戦略」も同時に推進する考えだ。
 約4カ月後の期限切れを見据え、中小企業への影響を最小限にとどめるよう、官民を挙げて抜かりない対応に心したい。
 返済猶予法はリーマン・ショック後の急激な景気悪化を受け、時限立法で2009年12月に施行。東日本大震災などもあり2度延長されていた。
 この間、中小企業の倒産防止に効果を発揮。県内の倒産状況を見ると、今年10月まで17カ月連続で1桁台と小康状態が続いている。
 半面、競争力のない企業を延命させているとの弊害も指摘されており、事業再生に向けた支援体制の在り方が全国的にも緊急の課題と言える。
 県内でも金融庁方針などに従って今月8日、地域金融機関、公認会計士や税理士などの専門家ら19団体でつくる「おきなわ中小企業経営支援連携会議」が発足した。
 情報交換の緊密化など連携体制を構築し、中小企業の経営改善など事業再生の促進を図る狙いだ。所期の目的達成に向け、各関係機関は当事者意識を持ち、迅速かつ的確に対応することを期待したい。
 何よりも中小企業の再生は、地域経済の活性化に直結する。県内の企業構成は、中小零細企業が99%以上を占めるだけになおさらだ。
 特に県内地銀などの地域金融機関には、本来果たすべきコンサルティング機能が厳しく問われていることも忘れてはならないだろう。単なる延命はリスクの先送りにほかならず、自らの首を絞めかねないからだ。
 円滑な資金供給とコンサルティング機能の発揮は、地域金融機関に求められる両輪だ。もとより融資先の経営改善は、金融機関にとっても、安定した収益構造を確保する上で必要不可欠なはずだ。企業再生の充実・強化によって、足腰の強い地域経済を築く地域金融機関の使命を全うしてほしい。