12衆院選 在沖米軍基地/不条理継続は許されない


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 日本の「安全保障」は矛盾だらけだ。日米安保条約の結果、米兵による殺人や強姦(ごうかん)といった凶悪犯だけで沖縄では復帰後568件も発生した。県民の「安全」は「保障」されないどころか、命や尊厳すら脅かされている。

 一地域に、その地域の住民の意思を無視して一方的に負担を押し付けるのも不条理だ。こんな不条理は許されない。国の根幹が問われる問題だと、各党は強く認識してほしい。
 主要各党の公約を見てみる。普天間飛行場について、民主は「固定化を避けるため辺野古移設を進める」立場だ。自民も辺野古移設への理解を求めてきた「原点に戻る」と述べる。公明も県民の理解を得ることを前提に日米合意を「着実に実施」する姿勢だ。いずれも危険性除去を理由に挙げる。
 維新は辺野古に移設した上で「数十年かけ県外に代替地を見つける努力」に言及。みんなの党は「まずは知事との話が大事だ」という姿勢だ。国民新は「移設強行は不可能で、代替案を議論する必要がある」と述べる。
 一方、未来は「国内外への分散移転の可能性を米国と再交渉する」姿勢を示す。共産は「無条件撤去が現実的で唯一可能性がある」とし、社民は「県外への過渡的な移設か米国移設しかない」との方針だ。新党大地は普天間の県外移設を党の綱領に明記する。
 オスプレイは、民主・自民・公明・維新・みんなが沖縄配備を容認しつつ、飛行ルールなど安全性確保を求めると強調する。国民新は配備の現実を認めつつ県外への一部訓練移設を主張し、未来も飛行方法について「日本の要求を米国に伝えて改善」する姿勢だ。
 これに対し、共産・社民は配備に反対し、配備・訓練の撤回を主張する。大地は沖縄配備に反対し、訓練の県外移設を求める。
 総じて在沖米軍基地問題は、今選挙の争点としては後景に退いた印象を受ける。首相辞任という国を揺るがす事態にまで発展したにもかかわらず、だ。しかし安全保障が国の専管事項というなら、国政選挙でこそ論争すべきではないか。
 まして、民主的手続きで選ばれた知事も市町村長も、県内のあらゆる地方議会議長も反対する中で、沖縄だけに負担を押し付けるなら、民主主義国を標榜(ひょうぼう)すべきではない。対米従属国家を続けるか否かこそ、真に問うべき争点だ。