民主・海江田新代表 信頼回復へ存在感を示せ


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 民主党は新代表に元経済産業相の海江田万里氏(63)を選び、党立て直しへの一歩を踏み出した。民主党は今回の衆院選で大敗し、壊滅的な打撃を受けた。党再建の道のりは険しいと言わざるを得ない。長期的な視野に立って足腰を鍛え、失った国民の信頼を着実に回復していくしかない。

 まず、なぜこうも国民の信頼と支持を失ったのかを総括し、反省する必要がある。それは、外交・安全保障、経済、社会保障などあらゆる政策で揺れ、政権交代を後押しした国民の期待を裏切ってきたからだ。
 米軍普天間飛行場の移設問題で「最低でも県外」の方針を捨てたほか、消費税増税に舵(かじ)を切った。「政治主導」は羊頭狗肉(ようとうくにく)と化し、かつての自民党政権以上に官僚主導の政権運営に陥った。国民の離反を自ら招いたのだ。
 党再建には、どのような政治的立場を取り、政策を掲げるのかを明確にする必要がある。そのためにも早期に「党綱領」を策定し、理念や根本方針を示すべきだ。
 代表選の演説で、海江田氏は「民主党を日本から消してしまうわけにはいかない」と述べ、社会的公正を図り改革を進めることが民主党の役割だと強調した。その言葉からすると、海江田民主はリベラル色を前面に出し、26日に発足する安倍晋三自公政権との対決姿勢を強めるように見える。
 海江田氏は既に、安倍氏が掲げた大胆な金融緩和政策を批判している。対立軸を設けて論争するのは重要だが、しかし単に批判するだけでなく、デフレ脱却に向けた海江田氏自身の考え方もきちんと示してもらいたい。
 外交・安全保障政策などでもそれは問われる。安倍氏は「国防軍」創設や憲法改定に前向きな姿勢を見せている。第3党に躍進した日本維新の会も安全保障や憲法では同様のスタンスであり、こうした動きに海江田民主はどう対処していくのか、重大な責任がある。決して、翼賛政治の一翼を担ってはなるまい。
 2030年代に原発をゼロにするという方針の堅持でも真価が問われる。「社会的公正」を言うのなら、普天間問題についても、党の立て直しの一環として辺野古移設方針を見直すべきである。
 海江田氏は「国民は立ち直る機会を与えてくれた」とも述べた。信頼回復に向け、民主党の存在感を示せるかが鍵を握る。