仕事始め 経済と雇用の再生着実に


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 仕事始めの4日、県内企業の各代表が今年の抱負を述べた。「明るい兆しに感謝し、前向きに行動を」「飛躍の年にしたい」「夢のある未来共有を」。昨年までの近年の年頭あいさつは悲観的で厳しい言葉が多かったが、今年は前向きな発言が目立った。県内景気を上向きにする実行力に期待したい。

 今年は最初の取引日となる大発会で東京株式市場はほぼ全面高の展開となり、日経平均株価は一時、1年10カ月ぶりに1万700円台まで上昇した。東京外為市場も1ドルが87円台後半と約2年5カ月ぶりの円安・ドル高水準で推移するなど、市場は幸先の良い幕開けとなった。
 米国のオバマ大統領が減税失効と歳出の強制削減が重なる「財政の崖」の回避に向けた法案に署名し、法が2日に成立した。昨年末には日本では第2次安倍晋三内閣が発足し「アベノミクス」と呼ばれる大胆な金融緩和や公共事業中心の財政支出拡大などの経済政策を打ち出している。
 こうした日米政策への期待感が株高と円安につながっているのだろう。円安で自動車や電機など輸出関連企業の業績改善につながり、市場の活況が続くのならば歓迎すべきだが、楽観だけでは済まない要素もある。
 米国は「財政の壁」をひとまず回避したが、税制改革や歳出削減の具体的な内容を含む財政再建の包括策については、今回の法に含めていない。2月末にも天井を超える連邦債務の上限引き上げ問題では議会の激突も予想され、問題が先送りにされただけとの見方もある。市場が再び振り回される懸念を抱えたままだ。
 「アベノミクス」も国債価格の急落・長期金利急騰や物価高騰を招きかねず「安倍バブル」との批判もあり、日本経済を立て直し「失われた20年」に終止符を打てるのか、かじ取りを注視したい。
 県内景況は昨年、回復を維持した。日銀那覇支店が発表した12月の企業短期経済観測調査でも復帰後初の6期連続の改善となり、リーマンショック前の景気状況に戻ったと指摘された。沖縄経済は強くマイナス要因は見当たらないともいわれる。
 太陽光発電による大規模な売電事業の参入表明が相次ぐなど、県経済に明るい兆しもある。仕事始めにあたり、経済と雇用の再生を実感できる年へ、県民と共に決意を新たにしたい。