三が日飛行 だんらん乱す米軍の野蛮


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 「無神経すぎる。米軍は正月もやりたい放題」。宜野湾市の男性の言葉が本質を言い当てている。米海兵隊は3日から垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの飛行訓練を始め、騒音をまき散らした。

 県民は正月三が日ですら、だんらんをかき乱された形だ。反発の渦巻く沖縄で、こともあろうに正月にオスプレイを飛ばすことには意図的なものを感じる。「沖縄がどれほど抵抗しても、米軍は力で押し切る」というメッセージだ。県民に無力感を刷り込むのが狙いなのだろう。
 彼らにこの空を好き勝手に使わせてはならない。沖縄の空の使い方を決めるのが沖縄県民であるのは自明の理だからだ。理はわれわれにある。あきらめず、文化を解しない野蛮な米軍に、粘り強く理非曲直を説いていきたい。
 普天間飛行場に関し日米が合意した騒音防止協定は「慰霊の日のような地域社会にとり特別に意義ある日は訓練飛行を最小限にするよう配慮する」と規定している。
 それでもあえて三が日に飛行したのは、協定の精神などくみ取る必要はなく、米軍は飛ばしたいときに飛ばすと宣言したに等しい。
 米軍にはよく考えてもらいたい。ほとんどの米国民が大切にし、家族と過ごすクリスマスに、ニューヨークの空で日本の軍用機が爆音をまき散らした場合、自分たちは許容できるのか。
 日本政府もこのような訓練を黙認するのはなぜか。イタリアで米軍は、地元の昼寝の習慣を尊重してその時間帯は飛行を止める。彼我の二重基準に非を鳴らさない外交など、外交の名に値しない。
 そもそも政府は、オスプレイの安全確保策を米軍に順守させていない。「市街地上空ではヘリモードにしない」、「転換モードは極力限定する」といった文言は、三が日の実態を見ても完全に空文化している。だが防衛省は「合意違反はない」と繰り返すだけだ。
 抜け道だらけの合意など、米軍が守るはずはないことを、日本政府は十分承知していたはずだ。交渉した“ふり”を自国民に見せるだけの、詐欺的な姿勢は罪深い。
 そもそも「外交」が存在しない日本政府が発した配備容認は有効なのか。他国の文化も生命も重視しない米軍の行為の野蛮性からしても、沖縄へのオスプレイ配備は不当だ。配備撤回まで、その不当性を粘り強く国際社会に訴えたい。