オバマ政権2期目 対立から対話へ歴史転換を


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 オバマ米大統領が20日、ホワイトハウスで就任宣誓を行い、正式に任期2期目に入った。この機会に、三つの課題を提起したい。

 全人類的課題として真っ先に尽力してほしいのは核軍縮・廃絶だ。
 オバマ氏は「核なき世界」を提唱し、ノーベル平和賞を受賞したが、実現の道は険しい。核保有国の核軍縮が足踏みし、北朝鮮やイランの核開発問題なども横たわる。オバマ氏は向こう4年間で成果が上がらねば、受賞したノーベル平和賞を返上するぐらいの覚悟で核軍縮を率先垂範してほしい。
 1996年に日米が合意した米軍普天間飛行場返還。以来、米国の対日政策はアーミテージ元国務副長官ら知日派が事実上仕切って来たが、沖縄からすれば何も実を結んでいない。この「失われた17年」こそ直視すべきではないか。
 この現実を踏まえ、二つ目にオバマ氏に求めたいのは、シビリアンコントロール(文民統制)の最高責任者として、数十年先の世界の平和と安定をも見据えた、大局観に基づく政治の舵(かじ)取りだ。
 沖縄は日米が喧伝(けんでん)する、自由と民主主義、基本的人権が尊重される社会とはなっていない。米軍基地絡みの事件・事故、米兵犯罪が県民の平和的生存権を脅かしている。
 オバマ氏は、沖縄の現実をじかに見てほしい。県民の大半が反対する普天間の「辺野古移設」の異常性を深く認識し、県内移設以外の劇的改善策を講じてもらいたい。
 三つ目は、日本、米国、中国の戦略的対話をリードすることだ。
 2期目のオバマ政権は軍備増強を続ける中国に対抗するとともに、世界経済をけん引するアジア市場を取り込み、経済成長につなげる長期構想を描く。アジア太平洋地域重視戦略だ。これは同地域での米軍プレゼンス維持と、環太平洋連携協定(TPP)早期締結の両にらみの戦略とも言える。
 しかし、世界1位、2位、3位の経済大国である米中日3カ国が軍事的にいがみ合うことは世界の平和と繁栄にとって不幸なことだ。3カ国は、幅広い分野で「戦略的互恵関係」こそ深化すべきだ。
 東西冷戦終結から24年。人類にとって「戦争の世紀」克服と、テロ根絶へ向け異なる宗教・民族間の対話が急務だ。国際社会もオバマ氏と使命感を共有し「核なき世界」へ邁進(まいしん)したい。対立から対話へ。歴史の流れを変える時だ。