米国で銃規制へ 実効性ある規制で悲劇防げ


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 罪のない多数の子どもたちが銃弾の犠牲になったにもかかわらず、米国で銃犯罪が後を絶たない。悲劇を繰り返さないために、米国民は立ち上がるべきだ。

 オバマ米大統領は、全ての銃購入希望者を対象に犯罪歴の調査を義務付ける新法を成立させるよう議会に求めた。銃犯罪を減らす対策を関係省庁に指示した23項目の大統領令にも署名している。
 クリントン政権時代の1994年に銃規制法が成立して以降、最も厳しい内容だ。約20年ぶりとなる本格的な銃規制は、オバマ大統領の不退転の決意の表れだろう。
 事件の再発防止には、実効性ある銃規制が不可欠であることは明らかだ。もはや一刻の猶予もならない。米議会は、事態の重大性を認識し、新法の早期成立へ一致協力すべきだ。
 米国では、東部コネティカット州で児童ら26人が犠牲になった先月の小学校乱射事件後も銃犯罪は一向に減らず、驚いたことに事件以降の1カ月間に全米で900人以上が殺されている。
 米西部ニューメキシコ州では、15歳の少年が子ども3人を含む5人を射殺した容疑で逮捕。米南部テキサス州の大学キャンパスで男が発砲、3人が負傷した。まさに異常というほかない。
 こうした状態が続いているにもかかわらず、米国内では銃規制の機運がなかなか盛り上がらない。「武装の権利」を保障した合衆国憲法修正2条を国民が重視していることも、理解が進まない一因だ。銃規制新法も、議会共和党が規制反対派ロビー団体、全米ライフル協会(NRA)の強い影響下にあり、成立は不透明だという。
 2007年の国連統計によれば米国には短銃などの小型武器が約2億7千万丁あるという。これだけ社会に出回っている銃を管理・規制することは至難の業だろう。
 だからこそ、段階的かつ着実に銃を減らす努力を怠ってはならない。オバマ大統領は「社会が行うべき最初の仕事は子どもの安全を守ることだ」と語った。同感である。銃規制を貫徹し、銃犯罪の犠牲者を減らすことに全力を挙げてもらいたい。
 世論に変化の兆しもある。CNNの世論調査では「銃購入が簡単すぎる」との回答が56%を占めた。米国社会で、こうした銃規制強化を後押しする世論が高まっていくことにも期待したい。