全首長東京集会 変わるべきは政府、国民だ


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 県民の怒りと決意は全国にどこまで届いただろうか。
 オスプレイ配備に反対する県民大会実行委員会の代表らが参加して、東京で行われた集会とデモ行進。「復帰運動」で歌われた「沖縄を返せ」も響いた。それはまさに「返らない沖縄」が、いまも続くことを意味する。過重な基地負担がなくならない限り、沖縄の「日本復帰」は実現しないということだ。

 集会では「平成の沖縄一揆」の例えもあった。沖縄の積年の訴えが、新たな局面を開いたと言うべきだろう。日米両政府は沖縄の民意を見誤ってはならない。「抑止力」や振興策をかざせば、いずれ軟化すると思っているのなら、見当違いも甚だしい。
 集会で翁長雄志那覇市長が訴えたように、基地問題に関する沖縄の民意は後戻りしないし、もう変わることはない。変わるべきは日本政府、日本国民である。
 県民の要求はささやかで最低限のものだ。そこから後退するのは、人間としての尊厳を放棄することに等しい。そんな生き方を県民は甘受しないし、子や孫に引き継ぐわけにもいかないのだ。
 国際情勢は厳しい、現実の政治は甘くないとはいえ、沖縄の現状はあまりにも不合理だ。
 国土の0・6%の面積に国内米軍専用施設の74%が集中し、県民の大反対の声を押しのけて、欠陥機のオスプレイが強行配備され、米軍普天間飛行場の県内移設が推し進められようとしている。
 このような実態を仕方がないかのように態度を決め込む日本政府に、大多数の国民。「沖縄は日本なのか」。多くの県民が素朴な疑問を強く、深くしている。
 日本の主権国家としての在り方と民主主義が問われているのだ。28日には大会実行委らによる要請行動も展開される。日本政府はこうした素朴な疑問に、真剣に答えてほしい。そして今度こそ、県民が望む形で、基地問題の解決を図るべきだ。
 全国の国民にもあらためて訴えたい。日本政府が国民の声を背に米国と交渉できるように、今回の東京集会を契機に沖縄の思いを共有し、国内で広げてほしい。
 県民もいま一度、覚悟を決めよう。この期に及んでも、政府は懐柔策を強めてくるかもしれない。県民がひるんでは全国、世界での共感も広がらない。一丸となって粘り強く、訴えるしかない。