県議会参考人招致 「誠心誠意」の説明今こそ


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 県議会米軍基地関係特別委員会が武田博史沖縄防衛局長と竹内春久外務省沖縄担当大使の委員会への参考人招致を決めた。米兵事件の再発防止策の実効性を確認する。米兵絡みの事件・事故で負担を強いられている県民には知る権利がある。県議会が政府担当者を直接ただす取り組みは意義深い。

 防衛局長には上司へのペナルティー制度導入の提案についての見解を聞くほか、沖縄大使には外務省が日米地位協定の見直しに否定的な理由などを問う。全国都道府県議会議長会の取りまとめでは、都道府県議会が政府担当者を参考人招致した事例はなく、全国的にも画期的な取り組みだという。だが国民主権の建て前からすれば両参考人が説明責任を果たすのは当然だろう。
 米兵による事件は昨年8月に那覇市内で強制わいせつ致傷事件が起き、10月には集団女性暴行致傷事件が発生した。その後、在日米軍は全兵士の深夜外出禁止措置を取った。しかし、その後も禁止時間帯に兵士による住居侵入事件などが那覇市と読谷村で3件発生し、読谷村の事件は兵士が部屋にいた中学生を殴打している。
 「日米両政府はなぜ、戦後67年、復帰から40年を経た今なお、事件・事故が繰り返される現状を顧みず、抜本的な解決策に取り組もうとしないのか」。相次ぐ事件を受けて、県議会が昨年11月に可決した抗議決議文だ。県民の声を代弁しており、招致される2人の政府担当者は、ぜひとも委員会の場でこの疑問に答えてほしい。
 委員会では当初、米軍責任者の招致を検討していた。しかし自民党が「招致は対立を生むだけで解決に向けた対策とは考えにくい」と難色を示した。そもそも問題を起こしている第一当事者は米軍である。相手に遠慮するような形で消極的になるのは不可解だ。
 マグルビー在沖米総領事は昨年の集団女性暴行致傷事件について県議会の抗議の場でこう発言した。「今回は日米地位協定が直接的に問題になるような件ではなかった」。県警の初動捜査で米兵を基地外で逮捕できた。少し遅ければ基地内に逃げ込まれていただろう。事件を深刻に受け止めていないかのような総領事の認識を問い直す意義も大きい。
 委員会は今後、米軍責任者の招致について、あらためて議論する。繰り返すが米軍は当事者だ。招致する方向で再考を求めたい。