参考人招致拒否 沖縄駐在の意味問われる


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 県議会米軍基地関係特別委員会が米兵事件の再発防止策などを聞くため、参考人招致を要請していた武田博史沖縄防衛局長と竹内春久外務省沖縄大使が共に要請を断ってきた。県民代表の県議会が説明を求めている場への出席を拒む姿勢は理解に苦しむ。

 外務省沖縄事務所は主要業務について「在沖米軍の駐留にかかわる事項につき地元の意見要望の聴取」などと説明する。沖縄防衛局は「地方公共団体との調整や意見集約などの協力確保事務」「防衛省の施策を地元に丁寧に説明」などとしている。
 県議会は参考人招致で防衛局長には上司へのペナルティー制度導入の提案についての見解を聞き、沖縄大使には外務省が日米地位協定の見直しに否定的な理由などを尋ねるつもりだった。両組織は地元から「意見要望」と「説明」を求められたのだ。まさに主要業務ではないのか。これに応じないとなると、沖縄防衛局長も外務省沖縄大使も存在する必要があるのかという疑問が出るのは当然だ。
 不可解なのは県議会に届いた招致を断る防衛局長と沖縄大使の回答文が大使の追記2行以外は一字一句同じ文章となっていることだ。両組織が裏で連絡を取り合ったのだろう。県民への説明責任を果たすことに背を向けるために足並みをそろえるなど言語道断だ。
 外務省沖縄事務所は1997年2月に発足以来、今月で16年を迎え、9人の大使が赴任した。大使の一人は県民への要望として「米軍に常に抗議するのではなく、双方通行の対話をしてほしい」と述べ、別の大使は名護市議会の要請で「いくらあなたが言ったって聞かない」と声を荒らげたこともある。
 こうした発言など県民からは一体何のため、誰のために仕事をしているのかと疑問を抱くことが過去に何度も起きている。また毎月1回開催されていた定例記者会見も前大使が赴任した2009年6月から4年近く1度も開かれてない。これを怠慢と言わずに何と言おうか。
 2年前に当時の沖縄防衛局長が「普天間」移設作業で環境影響評価書の提出時期を問われ「犯す前に、これから犯すと言いますか」と県民を侮蔑する発言をしたことも記憶に新しい。防衛局長と沖縄大使は県民に顔を向けて仕事をしているのか。自らの存在意義を示すためにも、参考人招致に応じるべきだ。