長寿県転落 生活習慣を見直す時

 都道府県別の平均寿命で、沖縄は女性が3位に後退し、調査開始以来初めてトップを明け渡した。男性は30位となり、前回の25位から五つも順位を下げた。

 都道府県別の順位が付く指標は、数字に一喜一憂しがちだ。しかし、平均寿命は社会を映す鏡である。データが示す現実を社会全体の課題として冷静に読み解き、どう克服していくかが問われる。
 私たちは「長寿県沖縄」を誇りとしてきたが、いったんそのこだわりから離れ、県民一人一人の健康が急速に蝕(むしば)まれている現実を直視したい。県を挙げて、改善に向けた知恵を絞らねばならない。

■働き盛りの死

 厚生労働省がまとめた「2010年都道府県別生命表」によると、沖縄の女性の平均寿命は87・02歳で、5年前の前回の1位を長野県(87・18歳)に譲った。
 10年前の2000年の調査で、4位から26位に大幅に後退した男性(79・40歳)は30位に甘んじ、低落傾向が鮮明になった。
 女性の3位後退の理由について、厚労省は、平均寿命の伸び率が05年比で0・14歳と低く、全国の0・6歳に及ばなかったと分析した。伸び率が鈍化しているのは男性も共通している。
 平均寿命と関連が深い年齢調整死亡率をみると、男女とも、20歳から64歳の青壮年層で、脳出血、急性心筋梗塞、慢性肝疾患など、生活習慣病による死亡率が全国より目に見えて高くなっている。
 働き盛りで亡くなる人が多く、65歳以上の平均寿命が全国に比べて長いことを相殺してしまった。
 こうした背景には、県民の太り過ぎがある。肥満解消が長寿を取り戻す最大の鍵となろう。
 厚労省が昨年1月に公表した体格の調査(06年~10年)では、20歳から69歳の男性肥満者の割合は45・2%の沖縄が最高で、最も低い山口(22・1%)の倍を超えた。01年~05年の女性のデータも全国一の肥満度を示していた。
 ハンバーガーなど欧米文化の影響を受けた高カロリー、高脂肪の食事と、車社会による慢性的な運動不足が要因だ。
 夜型社会が深まり、飲酒する機会も多過ぎる。
 これが、高血圧、高血糖、高脂血症が重なるメタボリック症候群の高さに結び付いている。
 「赤信号」がともったと言っていい深刻な状況をどう改めればいいのか。男女ともに長寿日本一となった長野県の取り組みに学ぶべきことが多くある。

■長野に学ぶ

 長野県は1965年に脳卒中による死亡率が全国一高く、塩分の取り過ぎが指摘された。同県は81年から“減塩県民運動”を徹底した。「みそ汁は1日1杯」「そばやラーメンの汁は半分残す」など、分かりやすい事例を挙げ、食生活の改善を促した。地産地消を奨励し、1日当たりの野菜の摂取量も日本一になって久しい。
 「食生活改善推進員」や「保健指導員」ら住民主体のボランティアが中心となり、「歩け歩け運動」などの病気予防、体力・健康づくりの取り組みも活発だ。
 農業に就く元気な高齢者が多く、公民館の設置率が全国的に群を抜くなど、社会参加の機会も多い。全国の死因で上位を占めるがんや心疾患による死亡率が低く、平均寿命を押し上げた。
 減塩、野菜摂取、適度な運動-。長野県の多面的な取り組みは、健康長寿に対する住民の意識を高め、相乗効果を上げた。沖縄の家庭や地域にとっても健康づくりを見直す道しるべとなる。
 気候風土と食が織りなす南の島の長寿イメージは、沖縄観光の魅力をアップしてきた。だが、県民の命を取り巻く現実は険しい。
 行政、地域、学校、PTA、医療・保健関係者など、県民挙げて夜型社会の病弊にメスを入れ、あるべき食の姿を探る機運を高めねばならない。青少年から生活習慣を改めて、息の長い取り組みで長寿県復活を目指すしかない。