国連北朝鮮決議 核なき世界を目指せ


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 国連安全保障理事会は北朝鮮の3度目の核実験を受け、制裁を大幅に強化する決議を採択した。北朝鮮は核による先制攻撃まで示唆しているが、このような威嚇的な態度は国際社会の理解を到底得られない。国連決議を真摯(しんし)に受け止め、非核化の道を歩むべきだ。

 今回の決議は、これまで各国への要請にとどまっていた主な制裁項目を義務へと格上げした。核やミサイルの開発に関連していると疑われる物資を積んだ北朝鮮船舶への貨物検査や金融取引への監視を強化する。
 前例のない外交官監視も盛り込み、国連による最も厳しい制裁となった。北朝鮮の友好国中国も米国との草案協議に加わり、圧力強化で一致している。核開発を決して認めないとの国際社会の意志を明確にしたことは意義深い。
 これに対して北朝鮮は決議採択に前後して態度を硬化させている。「ワシントンを火の海にする」などと米国への核攻撃に言及したほか、朝鮮戦争休戦協定の白紙化、韓国との不可侵に関する合意の全面破棄などを表明している。安倍晋三首相が「挑発行為を決して行わないことを強く求めている」との談話を発表しているように、北朝鮮は自制してもらいたい。
 一方で米韓両軍は今月1日から野外機動訓練「フォール・イーグル」を開始した。さらに11日には合同軍事演習「キー・リゾルブ」も始める予定だ。北朝鮮は軍事演習の開始日をもって不可侵に関する合意を全面破棄すると宣言し、大規模軍事訓練も近く始めるようだ。米韓両軍も北朝鮮を刺激する行動は慎むべきだろう。
 今回の決議は北朝鮮の非核化を促すものだが、被爆国日本からすれば、非核化は世界各国が進めるべきものだ。今月4、5日にノルウェー政府主催の「核兵器の非人道性に関する国際会議」がオスロ市で開催された。日本など120カ国以上が参加しており、核ゼロに向けた新たな出発点となった。
 しかし米、ロ、中、英、仏の5核保有国は参加を見送った。非核保有国に核不拡散を求めるなら、保有国も核軍縮に本腰を入れないと説得力が乏しいことを自覚すべきだ。
 今回の決議だけでなく、国際社会は北朝鮮に対してさまざまなチャンネルを通じて説得を続ける必要がある。北朝鮮も自国民のことを思うなら、国際社会の警告を真剣に受け止めるべきである。