巨大地震被害想定 原発除外して最悪測れない

 東日本大震災の約13倍の被害-。まさに想像を絶する惨事だ。

 南海トラフ巨大地震が発生した場合の経済的な被害が、最悪で約220兆円とする被害想定が公表された。昨年8月には、最大32万人が死亡するとの想定も公表されている。
 そうなれば「国難」となるのは間違いない。被害対策を盛り込んだ減災戦略、地震後の復興プログラムの策定は急務だ。行政だけの問題ではない。備えを怠らないよう、国民全体で震災対策への意識を高めたい。
 ただ、今回の試算には大きな欠陥がある。原発を被害想定から除外していることだ。万が一原発事故が起きれば、被害はその比ではない。原発への影響は国民の最大
の関心事でもある。最悪のシナリオを想定しながら、原発被害を盛り込まなかったのは腑(ふ)に落ちない。
 政府や東京電力は、福島第1原発事故の直接の原因を津波としているが、地震による損壊の可能性を指摘する専門家もいる。その後の電源喪失などライフラインの寸断が事態をより深刻化させた。巨大地震発生時に、東海から九州にかけて点在する原発が、安全に緊急停止する保証は何もない。
 内閣府は南海トラフ巨大地震で想定される原発被害についても、綿密な予測を調査・公表すべきだ。「フクシマ」の教訓を生かさない震災対策などあり得ない。
 こうした巨大地震が発生すれば、建物やライフライン、インフラなどが、広い範囲で甚大な被害を受ける。企業の生産活動は急激に低下し、国際競争力も低下。長期的な減収、復興・復旧への財政出動など、国力の大幅低下は避けられない。日ごろから綿密な対策を立て、いかに被害を少なくできるかが、早期復興の鍵を握る。
 国や自治体は、被害の削減目標やそれを実現する具体的な工程表と予算の手当てを示した減災戦略を、早急にまとめてほしい。
 沖縄県の被害額は1千億円と試算されている。四方を海に囲まれた島国だけに、他県からの援助はそう期待できない。県や市町村は、想定を基に、建物の耐震化や防潮堤の整備、食糧・飲料水の備蓄など、取り得る万全の対策を施してもらいたい。
 国民も、行政に頼り切ってはいけない。最終的に自分の命を守るのは自分しかいないという自覚も必要だ。巨大地震を想定し、家庭でできる対策にも力を入れたい。



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