共同作戦計画 印象操作で誤解招くな

 日米両政府の合作による印象操作だという疑いが濃厚だ。尖閣諸島をめぐる日本有事を念頭に、日米両政府が共同作戦計画の策定に乗り出したと報じられた。さも尖閣をめぐって米軍が出てきて中国軍と戦うかのような印象を与えるが、本当にそうだろうか。

 両政府の思惑通りにそう信じ込んでしまうのは危うい。尖閣のために米軍が戦闘すると誤解させ、米軍の存在意義を信じ込ませるのが狙いだろう。だがそれは虚構の類いだ。両政府は、虚偽の「存在意義」を強調する印象操作をしてはならない。
 情報を注意深く見極めたい。まず、策定するのはあくまで「作戦計画」であり、必ずしも戦闘行為を意味しない。後方支援も含まれるはずで、この場合、そちらの可能性の方が高いだろう。
 米国の発言も見極めたい。最近、さも米国が日本と一緒に戦うかのように報道されがちだが、注意深く聞くと過去20年、尖閣をめぐる米国の発言は大枠で変わっていない。「尖閣は日本の施政権下にあり、日米安保の対象だ」と言いつつ、「尖閣の最終的主権について米国は日中いずれの側にも立たない」というものだ。
 注意したいのは「尖閣が安保条約の対象である」ことと、「尖閣をめぐる軍事紛争に米軍が出動する」のは同じでないという点だ。ここに巧妙なからくりがある。
 在日米軍再編に関する2005年の日米合意は米国、日本、日米合同でなすべき「役割・任務・能力」をそれぞれ記述する。そのうち、尖閣を含む「島嶼(しょ)部侵略への対応」は日本の役割と規定する。米国の役割でも、日米合同の役割でもない。米軍が武力で日本と一緒に守るなどとは保証していないことに注意を払うべきだ。
 尖閣の防衛に米軍が出撃し、米国の若者が血を流すと信じている米国人はほとんどいない。安保条約上は、米軍が出動するには米議会の承認がいる。米国民の支持がないのに可決するはずがない。
 米国は、米軍出動を日本国民が勝手に誤解し、米軍の必要性を信じ込んでくれればよいと思っているだろう。
 モンデール元駐日米大使が1996年、「尖閣問題で米軍は(日米安保)条約によって介入を強制されるものではない」と本音を暴露していた事実を想起しよう。印象操作にはまり、在沖米軍の「存在意義」を信じる愚を警戒したい。