新年度スタート 飛躍期し課題に向かおう


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 きょうから新年度がスタートする。各企業や官庁では新しい社員や職員を迎え入れ、職場に活気がみなぎることだろう。

 景気回復の見通しは依然不透明で、国内外の政治・社会情勢にも厳しさはあるが、おのおのが飛躍を期して、直面する課題や新たな取り組みに向かっていきたい。
 変わる制度もある。男性の厚生年金支給開始年齢が60歳から61歳に引き上げられる。これに伴い、60歳で定年した場合に年金が受け取れずに収入空白期間が生じるのを避けるため、雇用継続を希望する社員の雇用確保も企業に義務付けられる。
 早速、新入社員に交じって雇用延長者が働く職場も少なくないだろう。新しい力と経験を生かしてよりよい職場環境をつくっていくことが、企業側に求められる。
 昨年末に発足した安倍晋三内閣も、いよいよ真価が問われる。
 「アベノミクス」によるデフレ脱却への期待の半面、効果を疑問視する声も根強い。円安の進行で4月以降、全国的に電気・ガス料金や一部輸入品の価格が上がり、家計への圧迫感が増しそうだ。
 勤労者の懐が温かくならない限り、アベノミクスの成功はない。政府には新年度に当たりあらためて、勤労者や中間層への視点を大切にすることを求めたい。
 東日本大震災は発生から2年が過ぎたが、復興への道のりも依然険しい。福島第1原発では先月停電が起きて、使用済み燃料を保管するプールの冷却システムが一時停止した。不安定な状態が続いていることを強烈に印象付けた。
 被災地では、清新な気持ちで新年度を迎えることができない人も多いことだろう。われわれも被災地に寄り添う気持ちを忘れずに、復興支援を続けたい。
 沖縄にとっても試練は続く。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向け、国は県民の反対を押し切る形で埋め立て申請を出した。県は正式に受理し、埋め立てを認めるか否かの知事判断が焦点となる。
 4月28日のサンフランシスコ講和条約発効の日、沖縄にとっては「屈辱の日」に、政府は「主権回復」の記念式典を開くという。県民としては看過できない動きだ。
 取り巻く状況は厳しいが、常に希望を持ち前へ進みたいものだ。職場や家庭、学校などそれぞれの場所で活性化を図り、社会の閉塞(へいそく)感を取り払っていきたい。