4・28県民大会 自民県連の気概を見たい


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 4月28日の対日講和条約発効の日を「主権回復の日」として祝う政府主催の記念式典に抗議する県民大会の開催に向け、県議会各会派による調整が続いている。

 3日に開かれた準備会合に公明県民会議は出席したが、自民は欠席した。何らかの形で大会を開くことで一致し、自民も含めた超党派の大会を目指し、努力を続けることを確認したという。
 県民の思いをしっかり示せるような大会を、ぜひ実現すべきだ。各会派は英知と使命感を持って大同団結してほしい。特に自民県連には、民意を確実に受け止め、参加に向けて前向きな論議を急ぐよう求めたい。
 先月の県議会の抗議決議の際にも、自民は退場して決議に加わらなかった。自民は、4・28の記念式典開催が昨年の衆院選で自民党全体の選挙公約だったことなどを理由に挙げている。
 しかし、これは県民には分かりにくい理由だ。そのことを支持して自民候補に投票した県民が、どれだけいたと言うのだろうか。
 衆院選で自民候補が支持を得たのは、公約破りの民主党への失望もさることながら、自民県連が民意を体する形で変化し、米軍普天間飛行場の県外移設を県民に約束したからにほかならない。
 そして、4・28記念式典と普天間問題は関係ない、とは断じて言えない。講和条約発効とともに沖縄は日本から切り離されて、過重な基地負担を強いられてきた。その延長線上に普天間問題もあり、曲折を経ながらも「県外移設」で一丸となった県民世論もある。
 4・28に事実上の「主権回復」祝賀式典を開催することは沖縄の歴史と現状が許さない。それが県民の思いだ。その民意から離脱して、自民県連は自らの存在意義をどう位置付けようと言うのか。
 記念式典の次は普天間問題と、政府は沖縄世論の切り崩しを図ることだろう。後ろ向きな姿勢は政府の動きに手を貸すだけである。
 民主政権下で野党も経験し、民意から見放されることがいかに致命的かを自民は学んだはずである。政権復帰で気が緩み、もう民意を軽んじても構わないと思っているのなら、重大なしっぺ返しも覚悟すべきだ。
 党中央との“ねじれ”による重圧は民主党以上に厳しいだろう。苦労は分かるが、民意に背を向けるべきではない。今こそ、自民県連の度量と気概を見たい。