春の新聞週間 多難な時代のビタミンに


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 日本新聞協会が提唱する「春の新聞週間」が6日スタートした。読者、県民に有意義なニュース、情報を数多く確実に届ける。そんな新聞の役割を自覚したい。

 4月6日は「新聞をヨム日」。新聞協会がこの日に合わせて、読んで幸せな気分になる新聞記事の紹介とその理由を募集した「HAPPY NEWS2012」の小学生部門で、県内から那覇市立小禄南小4年の鶴田直也君が入賞した。本紙が今年1月1日から7回連載した企画「育む 支え合うチムグクル」の初回記事で応募した。
 鶴田君が選んだ記事は「一歩ずつ成長『3人補い合って一人前』」の見出しで、那覇市の當山勲さん(56)と妻由美子さん(61)、一人娘のゆりさん(19)の家族3人の歩みを紹介していた。ともに視覚障がいのある勲さんと由美子さんがダウン症の娘の育児で学んだことや、支え合って明るく前向きに暮らす3人の様子を伝えた。
 6日付特集紙面で當山さん一家と鶴田君が対面、受賞を喜び合ったことが紹介された。鶴田君は朝食前に興味深い新聞記事を家族で探すのが習慣になっていると言い、當山さん一家の記事は「元旦に元気の出る『いい記事だね』と家族で話題になった」と振り返った。
 鶴田君の言葉は、読者の元気に多少なりとも貢献できたという意味で新聞の作り手の励みにもなる。
 新聞の存在意義は「権力の監視」「社会を映す鏡」などさまざまな形容ができるが、究極的には平和と持続可能な環境を過去から現在、未来へと引き継ぐことだと言える。人種や国籍、老若男女など立場の違いを超え、人々が幸福感を感じる、元気な社会の形成を後押しする。これも新聞の使命だ。
 6日付紙面では、日米が合意した嘉手納基地より南の米軍6施設・区域の返還・統合計画について、一部評価から疑問、抗議まで幅広い意見を紙面化しようと努めた。基地問題を大きく扱うのも、公平・公正な民主社会、県民の幸せを追求するからにほかならない。新聞社の社会的責任を銘記したい。
 地域やNPOなどで活躍している方々から、「人と人のつながりが見える記事を」「読んで『頑張ろう』と励まされる記事を」といった注文をいただいた。謙虚に受け止めたい。新聞は、役立つメディアであり続ける。多難な時代を生きる読者の知的ビタミンとして。