普天間合意17年 国家的詐欺に終止符を


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 1996年に日米両政府が、米軍普天間飛行場の全面返還を電撃的に発表してから、12日で満17年を迎えた。

 返還はおろか、危険性の除去さえままならない現状を見る限り、「失われた17年」と言っても過言ではない。政府はいいかげん不毛な歳月から教訓を学ぶべきだ。
 当初、返還までの期限は「5~7年」とされたが、いまだ迷走を続けているのはなぜか。県内移設の“条件付き返還”が足かせになっているからにほかならない。
 歴代政権は「沖縄の負担軽減を図る」としながらも、沖縄だけに基地を押し込めようと腐心してきた。昨年12月に政権奪還後、名護市辺野古移設を強行に推し進める安倍晋三政権もしかりだ。
 国土面積のわずか0・6%の沖縄に在日米軍専用施設の74%が集中する。繰り返しの主張になるが、安全保障の過重な負担を強いる現状を放置し続けることは、沖縄への「構造的差別」にほかならず、日本は民主国家たり得ない。
 ましてや振興策というアメを駆使し、沖縄の理解を求める補償型の基地維持政策はとうに破綻しており、時代錯誤も甚だしいと嘆息せざるを得ない。
 96年の日米特別行動委員会(SACO)合意や、2006年の在日米軍再編計画の進捗状況を見れば分かるが、普天間に限らず、那覇港湾施設や牧港補給地区など、移設条件付きの施設区域の返還は実現していない。
 日米両政府は、県民世論に反する計画自体が頓挫している現実を直視すべきだ。
 普天間飛行場には昨年10月、墜落事故を繰り返し「未亡人製造機」とやゆされるMV22オスプレイが強行配備された。負担軽減どころか、危険性を増大させる暴挙と言うほかない。
 日米両政府が5日に合意した嘉手納基地より南の5基地の返還・統合計画では、普天間は22年度以降と再び先延ばしされた。5~7年で返還のはずが、早くても26年を要することになる。もとより県内移設が条件では、国家による“信用詐欺”の疑いが極めて濃厚だ。
 普天間返還・移設問題の迷走は政治の貧困さの象徴であり、不毛な漂流を続けることはもはや許されない。政府が返還計画の実現を真に願うならば、直ちに県外移設に方針を転換すべきだ。