淡路島地震 災害に強い街をつくろう


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 兵庫県淡路島で13日、マグニチュード(M)6・3の地震が起きた。2011年の東日本大震災や、近い将来の発生が懸念される南海トラフ巨大地震などで、津波災害への警戒が強まっていた矢先、津波のない内陸型の大きな地震が発生した。あらゆる災害への備えを強化しておかなければならない。

 「あの時と一緒や」。立っていることが困難になる震度6弱に襲われた淡路島の住民はこう語ったという。「あの時」はもちろん6千人余りが犠牲になった1995年の阪神大震災のこと。18年前と同じく、早朝の静寂を襲った揺れの恐怖はいかばかりだったか。テレビは「ついに南海トラフ地震が来たのか」と驚いた人たちの表情を伝えていた。
 地震の負傷者は15日段階で兵庫など5府県で計27人となり、住宅の被害は兵庫だけで2300戸余りに達した。淡路島の洲本、淡路、南あわじの各市に被害は集中しているが、一方で阪神大震災で甚大な被害を受けた教訓が生かされたケースもあるようだ。
 島全体で被害が相次いだ中、淡路市北西部にある富島地区は屋根瓦一つ落ちたとの報告もなかったという。阪神大震災後、地区の大半を区画整理し、住宅を建て替える際には土台や柱に耐震強度の高い建材を選んだ。たんすなどの家具はもちろんしっかり固定。住民の高い防災意識が被害を遠ざけた。
 地震直後から飲料水や食料などの非常物資が島に運び込まれるなど、自治体の危機管理面でも18年前の教訓が生かされたという。多くの犠牲や悲劇の上に、阪神・淡路の人々が災害に強い地域を築き上げてきたことに敬意を表したい。
 ただ今回も甚大な被害を受けた地域があり、全ての対策がうまくいったわけではない。さらに今回の地震はこれまで明らかになっていなかった活断層が引き起こした可能性もあるという。阪神大震災の「余震」との見方もあるが、南海トラフ巨大地震との関連は判断が難しいと報告されている。
 いずれにしても今回の淡路島地震が示唆したのは、残念ながら「地震大国」の日本ではいつどこで大地震が起きても不思議ではない、という現実ではないか。東日本大震災はプレート(岩板)の境界部で発生した海溝型地震だったが、沖縄周辺も同様のプレート構造にある。決して対岸の火事ではないことを再認識すべきだろう。