ボストン爆発 大衆狙う新手のテロ許すな


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 卑劣な爆弾テロが、平和の象徴とも言える屈指のスポーツイベントを地獄絵に変えた。

 世界で最も古く、117回を数える米国のボストンマラソンのゴール地点で起きた爆発で、8歳の男児を含む3人が死亡し、144人の負傷者が出た。猛烈な爆風で手足を切断した人もいる。17人が重体という。
 罪のない市民を恐怖のどん底にたたき込んだ、卑劣極まりない犯行を決して許してはならない。
 最も盛り上がるゴール付近にはランナーや多くの観客が集まる。厳重な警備態勢を敷きにくい死角を突き、爆薬を嗅ぎ分ける警察犬もかいくぐり、容疑者は多くの死傷者が出ることを狙った。
 連動し炸裂した二つの爆弾には、殺傷力を強めるため、散弾状の粒がちりばめられていた。周到な計画性がうかがえる。
 まだ、テロと断定されてはいないが、不特定多数の無防備な市民を狙い、米国全体を恐怖に陥れようとした無差別攻撃であることに疑いはない。
 オバマ政権は、爆弾を仕掛ける前兆や不審者情報はなかったのか、テロ対策の限界が露呈したのか、厳しい検証が求められよう。
 一刻も早く容疑者を特定し、背後関係を含めた全容を解明してほしい。
 2001年の米中枢同時テロ以来、米国内では大きなテロは起きていなかった。白昼の古都・ボストンで起きたテロは、国際社会にも衝撃を広げている。日本でも空港などの警備が強化され、東京株式市場は続落し、一時1万3000円割れ寸前となった。
 オバマ大統領は連邦捜査局(FBI)などを最大投入し、容疑者確保と真相解明に全力を上げるよう指示した。首都ワシントンなど大都市部での警戒を強めている。
 今回の爆弾テロは競技ランナーを含めた多くの市民、観客が参加するマラソン大会を標的にした。開催国が威信を懸けて警備する五輪などとは違い、万余の市民が走る42・195キロの沿道を守り切るのは困難だ。
 世界各地で催されている大衆イベントを狙う手口が台頭すれば、マラソンブームが続く日本のみならず、深刻な脅威が世界中に及ぶことになる。
 国際社会が情報を共有し、新手のテロの連鎖を何としても食い止めねばならない。