そうぞう辺野古推進 公約破棄の罪は重い


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 政策の実現を図りたい場合、有権者は自ら思い描く政策と立候補者の公約とを照らし合わせ、照合結果を元に投票する以外に方法がない。公約否定が前提なら、有権者は投票先を選びようがない。公約の破棄は、有権者に対し「あなたには政策実現を望む資格がない」と申し渡すに等しい。

 政党そうぞうが大阪維新の会と政策協定を結び、米軍普天間飛行場について「まずは辺野古移設を進める」との立場を表明した。當間盛夫代表代行が会見で述べた通り、紛れもなく「180度の政策転換」だ。公約を破棄する以上、そうぞうの県議は全員、議席を返上すべきだ。
 代表の下地幹郎氏は従来、「辺野古移設は実現不可能」と述べていたが、昨年10月、第3次野田改造内閣に入閣するや一転、辺野古移設を容認した。12月の衆院選でも当初は容認継続を表明していたが、形成不利が伝えられた終盤には再び立場を一転、「辺野古移設白紙撤回」を主張し始めた。
 今回、その公約を再び撤回することになる。下地氏にとって公約の重みなど無きに等しい。
 そうぞうの他の議員たちにも同じことが言える。昨年6月の県議選で當間氏は「政府は辺野古移設を断念すべきだ」と述べて「暫定的な嘉手納基地への統合」を主張していた。今回、「政策を転換してでも(普天間の)固定化を避ける。沖縄の基地問題を前に進める」と述べているが、その正しさを主張するなら議員を辞職し、有権者の審判を仰ぐべきであろう。
 県議会は2010年に全会一致で辺野古移設反対決議をした。そうぞうが辺野古推進を打ち出すことは、県議会の「全会一致の反対」の一角が崩れることになる。
 當間氏は「大阪維新の会の力を借り、沖縄の基地問題を全国に発信する」と述べたが、まるで逆ではないか。彼らが全国に発信してしまったのは、「沖縄は一枚岩ではない。辺野古移設を求める人もいる」というメッセージだ。本土では「沖縄の反対はやはり金目当てのポーズだった」と誤解する人も多いだろう。
 自民党の西銘恒三郎衆院議員、島尻安伊子参院議員の公約破棄にも共通するが、その弁が沖縄の民意からいかにかけ離れていても、民意を偽装する結果になってしまう。公約破棄は民主主義を否定するもので、その罪は重いと言わざるを得ない。