川口氏解任 国益めぐる本質論議を

 参院は、自民党の川口順子環境委員長の解任決議案を野党の賛成多数で可決した。川口氏が国会の許可を得ないまま中国訪問を延長して委員会が中止になったとして、野党7党が解任決議案を参院に共同提出していた。衆参で委員長解任決議の可決は初という。

 政府、与党は「国益無視の暴挙だ」と反発するが、民意を代表する国会決議は重く、川口氏や自民党は謙虚に受け止めるべきだ。
 一方、野党側も解任で問題を幕引きとするのならば、国会運営の主導権をめぐる政争の具にしたとの批判は避けられない。与野党はこの機会に、日中関係、日韓関係における「国益」をめぐる議論を徹底的に深めてもらいたい。
 訪中延長問題の経緯を振り返ると、外相経験者の川口氏は4月23、24の両日、国会の渡航許可を得て中国での国際会議に出席。25日に急きょ、中国の外交担当トップ・楊潔チ(ようけつち)国務委員との会談が決まったため、野党側に期間延長を申し入れたが、理解を得られないまま滞在を延長。25日の参院環境委が中止となった。
 尖閣諸島をめぐって日中関係が悪化する中、日中要人による直接対話の機会はほぼ途絶えている。そうした中、外交政策で中心的役割を担う楊氏との会談に一定の意義があることは疑いない。
 ただ、国会の委員会質疑の重要性は論をまたない。川口氏は、楊氏との会談について野党側に丁寧に説明し、理解を求める手だてを尽くしたのか。野党が指摘するように、巨大与党のおごりや緩みがなかったか、甚だ疑問だ。
 川口氏や自民党の「国益」主張にも少なからぬ疑義がある。尖閣諸島や国会議員による靖国神社参拝などについて、「直接に十分な議論・反論を行い、わが国の考え方を伝えることが国益上必須」としている点だ。
 尖閣問題に加え、閣僚による靖国参拝で中国の反発は一層強まり、日中関係は悪化の一途だ。中国に対する反論は自らの行動を正当化する「自民党益」にすぎないのではないか。ことさら国益を強調するのであれば、楊氏の見解や会談の具体的な成果を、川口氏はつまびらかにするのが筋だ。
 緊張が続く日中関係の改善の道筋をどう切り開くか。それこそが国益と呼ぶにふさわしくないか。国会での本質論議を待ちたい。



関連するニュース







  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス



  • 会員制サービス






  • 他のサービス