認可外防音対策 保育支援格差は理不尽だ


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 米軍嘉手納、普天間両飛行場に関わる国の防音対策で、基地周辺の補助対象地域に立地しながら認可外保育園が補助対象から外されている。その数は少なくも89園に上り、約3500人の園児が米軍機騒音に無防備な状態に置かれている。琉球新報の調査で分かった。

 こうした実態を、沖縄防衛局が全く知らないはずはない。主体的に改善策を講じてこなかったことは怠慢である。猛省を求めたい。
 防音工事助成に関する防衛省の施行令は、児童福祉法で定める公立保育所や認可保育園を補助対象とし、認可外は補助対象外だ。
 防衛局によると、嘉手納、普天間周辺の7市町村の公立・認可保育園111園のうち、6割を超える74園が助成を受けている。
 そもそも認可外を適用外とする法の規定、運用は誤りというべきだ。児童福祉法は「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」と規定する。
 最低限の保育環境を整える防音対策で、「認可外」というだけで認可園と格差を付けるのは不平等だ。園児の人権をも脅かしている。
 調査対象の7市町村に登録された計154園の認可外のうち、6割が防音工事の助成対象(住宅防音の場合)である「うるささ指数」(W値)75以上の騒音地域に立地している。認可か認可外かを問わず、これらの地域の園児は同じ爆音被害者であり、負担緩和の恩恵を等しく受ける権利がある。
 認可外への公的支援はお寒い状況だ。市町村が実施主体の認可保育所が国、県、市町村から比較的手厚い支援を受けているのに比べ、認可外への県の支援は1日当たり77円の給食費などで十分とは言えない。支援格差のしわ寄せが園児に及ぶのは理不尽である。
 現場からは基地騒音による「保育活動の妨害」「子どもの睡眠妨害」など悲鳴も聞こえる。
 基地騒音は、深刻度を増している。普天間に配備されたオスプレイからの低周波音が、防音工事を施された教室内で基準値を超えて測定されたとの調査報告もあった。
 劣悪な環境は放置できない。認可外保育園にも認可園並みの防音対策を講じるよう、関係する全ての公的機関が速やかに改善に乗り出すべきだ。もちろん、根本的な解決のためには、騒音発生源の基地を撤去するほかない。