若者県系人 果敢な挑戦を支援したい


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 若い県系人が世界各地から集い、ウチナーンチュとしてのアイデンティティーを確認する。五大陸を股に掛け、壮大なネットワークを築く。そんな若者の果敢な取り組みに拍手を送りたい。

 昨年始まった世界若者ウチナーンチュ大会の第2回大会が7月に米国ロサンゼルスで開かれる。若者たちが自主的に始めた試みがきちんと根付き始めている。この試みが永続し、さらに広がるよう、最大限に後押ししたい。
 発端は、県内の学生たちが国外での研修で若い県系人と接触したことだ。彼らの沖縄への熱い思いに触れ、「自分たちも沖縄のために何かしたい」という気持ちが湧き上がり、県内の学生や社会人で若者事務局を発足させたという。それが世界大会主催者の世界若者ウチナーンチュ連合会(WYUA)の母体となった。
 2011年10月に開かれた第5回世界ウチナーンチュ大会の「若者国際会議」で彼らが議論し、各国持ち回りで毎年世界若者大会を開いていくことにした。
 多くの若者がこのような思いを共有する地域が、他にあるだろうか。そのような若者たちがいる沖縄という社会を、誇りに思う。そして、思いだけでなく実現にまでこぎ着けた彼らの行動力に、心から敬意を表したい。
 第1回は昨年7月、ブラジルで開かれ、8カ国から若いウチナーンチュ約150人が参加した。「県系社会で沖縄文化をどうやって引き継ぐか」などを真剣に話し合い、貴重な人脈を築き上げた。
 各国の県系社会は強い結び付きで知られてきたが、これまでは親から子、孫へという縦のつながりに依存してきた。若者大会はそれを横のつながりにすることを意味する。言葉の違いを乗り越え、国を超えて「肝心(ちむぐくる)」で結ぶ信頼関係だ。ウチナーンチュならではの結び付きは貴重な財産になろう。
 若者たちは良い刺激も与え合っている。ハワイの若者は先住民族の言語復活などハワイのアイデンティティー復興の経験を伝えた。それはしまくとぅば復興の機運にもつながっている。関心は基地問題にも向く。新しい発想での取り組みに期待が掛かる。大会の意義は大きい。
 主催者たちは準備のための活動費をバイトで捻出し、自らの足で寄付を募っている。志のある若者を、沖縄社会全体で支援したい。