ヘリ8機追加配備 大規模撤退を模索すべきだ


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 在沖米海兵隊は6月初旬から海兵隊員170人とヘリコプター8機を県内に配備することを発表した。配属基地は示していないが、唯一の海兵隊航空基地である普天間飛行場への駐留は間違いないだろう。負担軽減に逆行する基地機能強化であり、到底容認できない。

 今回の移駐は米国から6カ月ごとに巡回配備される部隊配置計画(UDP)の一環で実施される。海兵隊はUDPを1977年から実施しているが、在沖基地はイラク戦争への派兵後に中断していた。
 このため普天間飛行場の常駐機はイラク戦争前までは71機だったが、現在は52機まで減少していた。今回、海兵隊はUDPを徐々に再開させることを表明しており、今後さらに駐留が拡大する可能性がある。以前の状態に戻すだけだとの認識かもしれない。しかし海兵隊は普天間飛行場に注がれる県民の厳しい目を知るべきだ。
 県知事、県議会、全市町村長、全市町村議会が反対を表明しているにもかかわらず、米軍は昨年10月に垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機を強行配備した。県民大会、東京行動まで開催して配備撤回を求めている沖縄の声には耳を傾けず、今年夏にはさらにオスプレイ12機の配備を表明している。そして今回のヘリ追加配備だ。沖縄の民意、人権を踏みにじっているとしか言いようがない。
 オスプレイ配備後の昨年10月から今年3月末までの半年間で、同飛行場から派生する航空機騒音は宜野湾市上大謝名地区で9344回発生した。前年同期と比べて1206回、14・8%増加している。
 フェンスから数百メートルの場所にある同市野嵩の緑ケ丘保育園では爆音で立ちすくみ、動けなくなる園児の姿は日常の風景だ。職員が泣き叫ぶ園児をなだめるために抱き上げると、心臓が大きく脈打っていたこともあったという。追加配備を容認できるはずがない。
 米軍事戦略に影響力を持つ研究機関ランド研究所は4月末、国防総省の依頼で作成した報告書を公表した。定数1万9千人とされる在沖米海兵隊について、約2千人の第31海兵遠征部隊を除く大部分を米国内に移転しても「展開能力にはわずかな影響しか及ぼさない」と結論付けた。UDP拡大方針は報告書の結論に逆行する。配備追加は時代錯誤だ。オスプレイも含めて大規模撤退を真剣に模索すべきだ。