W杯出場決定 日本サッカーの成長実感


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 サッカーの日本代表が2014年のワールドカップ(W杯)ブラジル大会への出場を決めた。

 試合終了間際のペナルティーキック(PK)で同点に追い付くという際どい展開の末に、切符をつかみ取った。課題も見えたものの、日本サッカーの成長と可能性を実感させる戦いぶりだった。
 1998年のフランス大会から5大会連続の出場だ。開催国を除けば、3大会連続で世界で最初に出場を決めた。今回はホームで初めてW杯出場を決めることができたことも国民の喜びを高め、日本サッカーの歴史に貴重な一ページを刻んだ。
 来年まで個々の選手がさらに技量を磨き、チームとしての成長を遂げ、ブラジルの地で飛躍することを期待したい。
 W杯出場を決めた4日の豪州戦は、押し気味に試合を進める中で後半36分に先制されるという厳しい展開。しかし、そこから諦めずに奮起し、本田圭佑選手のPKで引き分けに持ち込んだ。
 本田選手の「ど真ん中PK」には恐れ入った。試合後「真ん中に蹴って止められたら仕方ないと思って蹴った」と言ったが、これは開き直りというより自信の表れだろう。チームリーダーとしての信頼感と存在感を如実に示した。
 本田選手の自信や精神力の強さは、日本サッカーの成長と進化の証しとも言えるだろう。
 ことしはJリーグの開幕と日本がW杯出場を目前で逃した「ドーハの悲劇」から20年の節目の年。悔しさをばねに着実にサッカーの裾野を広げ、欧州でも活躍する選手を育ててきたことが、結果として表れている。
 だが、まだまだ課題はある。長年指摘されている得点力・決定力不足は解消されていない。豪州戦でもボールを支配し、シュート数でも上回りながら、チャンスを生かすことができなかった。
 その鍵を握る一人はやはり、香川真司選手だろう。イングランド・プレミアリーグでの活躍同様に本領を発揮することができれば、得点力アップの可能性は広がる。チームと共にさらなる進化が期待される。
 選手を信頼し、能力を生かしてきたザッケローニ監督の手腕や采配も大きい。豪州戦後、「W杯出場は最低限の宿題。世界を驚かせる仕事をしたい」と語った。
 その言葉に気負いはない。1年後に世界の驚愕(きょうがく)を見たい。