南北当局者会談 対話の流れ強める好機だ


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 韓国と北朝鮮が12~13日にソウルで南北当局者会談を開くことに合意した。対話によりアジアの平和と安定を追求し、強化する好機だ。両国は見解の相違を超えて、会談を成功させてほしい。

 北朝鮮は国際社会の再三の忠告に耳を貸さず、核実験や「人工衛星打ち上げ」と称する事実上のミサイル発射実験を続けてきた。これに対し国連が非難決議を行い、各国は経済制裁を強化。中国国有の大手銀行が北朝鮮口座を閉鎖するなど、制裁は北朝鮮の最大の後ろ盾である中国にまで及んでいる。
 北朝鮮は自覚すべきだ。核開発を続ければ国際的孤立を深め、国家としての持続的発展はおぼつかない。国際協調路線に立つべきだ。
 南北会談は、出席者のレベルや一部議題で合意に至っていない。韓国は会談に閣僚級の出席を求めているが、北朝鮮は消極的という。
 北朝鮮は小異にこだわらない方がいい。2月の核実験で失われた国際的信頼を取り戻し、内政、外交を正常な軌道に戻す。金正恩第1書記にはこうした大局に立って、南北対話をリードしてほしい。
 次回会談で、両国は南北協力事業、開城工業団地や金剛山観光の再開、離散家族再会を話し合う予定だ。北朝鮮が求めた2000年の南北共同宣言や1972年の南北共同声明の記念行事に関する議題設定には韓国側が難色を示す。韓国側も関係改善を優先し、北朝鮮の提案に柔軟に対応すべきだろう。
 北朝鮮は今年3~4月に、米韓合同訓練や3回目の核実験に対する国際社会の制裁を口実に、朝鮮戦争の休戦協定が「白紙化」されたと主張。核攻撃にも言及し、日米韓3カ国への威嚇を繰り返した。唯一残った南北経済協力事業の開城工業団地の稼働も止めた。
 北朝鮮は危機を演出し、何らかの見返りを得る「瀬戸際外交」が有害無益であることを自ら悟るべきだ。先月、正恩氏の特使として北京に出向いた北朝鮮の軍幹部が、中国側の友好関係強化の呼び掛けに応じ「関係各国との対話を展開したい」と述べた。これは北朝鮮の変化の兆しとして歓迎したい。
 南北会談の先には当然、朝鮮半島の非核化や拉致問題解決を目指す6カ国協議の早期再開が待ち受ける。同協議を構成する日本や米国、中国、ロシアも協議の“前哨戦”として、韓国、北朝鮮の対話再開を強力に支援してほしい。