枯れ葉剤疑惑 抜本調査は日米の責務だ

 基地返還跡地に整備された沖縄市サッカー場の地中から見つかった十数本のドラム缶に、ダイオキシンを含む枯れ葉剤の米製造大手「ダウ・ケミカル社」の社名が記載されていた。枯れ葉剤が県内で貯蔵されていた可能性が一層高まった。米政府はこれまで「沖縄で貯蔵された形跡は見つかっていない」と説明してきた。これでも否定し続けるというのだろうか。

 沖縄の枯れ葉剤をめぐっては、北部訓練場での散布による退役軍人の健康被害を米退役軍人省が認定したことが2007年に明らかになっている。
 また、11年には退役軍人ら100人以上が沖縄駐留時代に枯れ葉剤と接触し、健康被害を受けたとして、米政府に被害認定を求めた。さらに米陸軍化学物質庁(CMA)が03年に作成した報告書で「オレンジ剤」と呼ばれる枯れ葉剤が復帰の1972年までドラム缶2万5千個分が県内に貯蔵されていたと明記している。沖縄に存在していた証拠ともいえる証言や記録はいくらでもある。
 ところが、今年3月に米国防総省が公表した「沖縄の枯れ葉剤疑惑に関する調査」と題する報告書は、「枯れ葉剤は当時から厳重に管理されており、沖縄に運び込まれたという証拠も記録も見つからなかった」と結論付けた。報告書の調査責任者の退役空軍大佐は製造会社から研究資金を受け取っていたとされる人物だ。中立性が疑われる調査結果をうのみにするわけにはいかない。
 日本政府の態度も首を傾げざるを得ない。現在まで米側に土壌調査など合同調査を求める意思を示していない。韓国では11年に元米兵が枯れ葉剤を埋めたとする証言が報道された際、米軍と韓国政府が2週間後に合同調査団を発足させて調査を開始した。100人以上の元兵士が証言している沖縄の基地で調査が実施されないのは二重基準であり、不当だ。
 過去にも北谷町の基地跡の地中から大量のドラム缶が見つかっており、米軍がずさんな基地運用をしていたのは明らかだ。米政府がいくら「証拠も記録もなかった」と言い続けても、県民はもはや信用も納得もできない。
 日米両政府は、早期に合同調査団を発足させる必要がある。投棄の可能性のある返還跡地と基地内の全てで、土壌掘削など大がかりな調査を実施すべきだ。

英文へ→US and Japan need to investigate Agent Orange in Okinawa