ストーカー規制法 被害者に寄り添い防止図れ


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 ストーカー規制法とドメスティックバイオレンス(DV)防止法が改正され、男女間の付きまといや暴力を防ぐ対応が強化される。2法とも成立から10年以上過ぎ、不備が指摘されてきた。

 法の盲点と相まって、ストーカー行為やDVにさらされて身の危険を感じた被害者の訴えを警察が受け止めきれず、未然に防げたはずの殺人事件などが後を絶たない悪循環に陥っていた。反省を踏まえた法改正により、対応策はきめ細かくなった。
 改正法に魂を吹き込み、新たな被害を出さないためには被害者の身に寄り添い、痛みを分かち合う警察の意識改革が欠かせない。被害者が声を上げやすくする社会的理解も広げねばならない。
 改正ストーカー規制法は、嫌がる相手にしつこくメールを送る行為を付きまとい行為に加え、被害者だけでなく、加害者の居住地の警察や公安委員会にも警告や禁止命令を出せるように改めた。
 現行法は、連続する電話やファクス送信などの行為を禁じているが、インターネットと携帯電話の普及に伴い、誰もが操るようになったメールは対象外だった。
 一方のDV防止法は、これまでの夫婦や元夫婦に加え、交際相手から暴力を振るわれる被害者も保護対象となる。
 神奈川県逗子市で2012年に起きたストーカー殺人事件では、警察が約1400通に上るメールの送信を把握したものの立件を見送り、悲惨な結末に至った。
 多くのストーカー事件の遠因には、付きまといやDVを男女間のもめ事程度に聞き置き、対応が後手に回った警察の鈍感さがある。
 警察を監督する公安委員会はチェック機能を果たさず、被害者や遺族、支援者が法の不備を指摘し続け、ようやく抜本的な法改正にこぎ着けた。
 今後、犯罪防止の実効性を高めるには、警察ともたれ合う公安委員会とは別に、第三者機関がチェックする仕組みづくりも検討されねばならないのではないか。
 警察庁によると、2012年のストーカー被害は前年に比べ36%増の1万9920件、加害者への警告、逮捕などは87%増の1855件に上る。過去最多である。
 加害者についても、刑罰だけにとどまらず、カウンセリングによる治療や指導など、継続して更生を支援する取り組みが必要だ。