県産品奨励月間 地産地消を徹底しよう


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 「しまんちゅの 心つなげる 県産品」をテーマに、県産品奨励月間が始まった。県産品の使用奨励と需要創出によって景気を浮揚し、産業振興と雇用拡大につなげることが目的だ。産業界や消費者団体、行政の一丸となった取り組みを県民を挙げて支援したい。

 県工業連合会が、食品、繊維、鉄鋼、金属など6業種を対象に県産品の自給率の変化と経済効果を調べたところ、自給率が6%伸びた場合の生産誘発額は803億6956万円、雇用者誘発額は1万1851人に上った。地場産業の発展は、県民の積極的な消費、地産地消の徹底が鍵と言えよう。
 県産品というと、泡盛やビール、塩、豚肉アグー、モズク、マンゴー、健康関連商品のウコンなどが沖縄ブランドとして定着している。
 近年は、農水産物に付加価値を付ける「6次産業化」が県内各地で活発化。県産の島野菜や青果、畜産物、海産物などを原料とした加工食品が次々と誕生しており、頼もしい限りだ。関係者の経営努力や商品開発の創意工夫が実を結び、「ものづくり立県」の原動力となることを願ってやまない。
 企業にとっては、県産品をいかに県外、海外で売るかが喫緊の課題だ。県産業界が、県産品商談会の開催や那覇の航空物流ネットワークの活用などで県産品の販路拡大を推進するのは当然だろう。
 こうした方向性は、日本とアジアとの懸け橋を目指す県の「沖縄21世紀ビジョン」とも合致する。県は、ものづくり企業への資金・制度面の支援や空港・港湾の物流ハブ機能の大幅拡充など、販路拡大の環境整備に注力してほしい。
 国にも注文がある。繰り返し指摘されているが、県内建設業への優先発注が依然として不十分だ。
 県がまとめた2012年度の県内・県外業者別契約状況によると、沖縄総合事務局の事業の県内企業受注率は件数は84・2%だが、契約金額は60・9%にとどまる。沖縄防衛局の場合も、同じく件数は82・9%と高率だが、金額は58・4%にとどまっている。これは、規模の大きい事業が本土企業に回っている証左だろう。
 投入された国費が本土に還流する「ザル経済」が温存されていることは、総合事務局と防衛局の怠慢であると指摘せざるを得ない。県内企業への優先発注で、国に実効ある取り組みを強く求めたい。