参院選・普天間問題 差別と犠牲に終止符を


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 大型選挙のたびに米軍普天間飛行場移設・返還問題が争点であり続ける政治に、いいかげん終止符を打たなければならない。

 過重な基地負担の軽減や普天間の県外移設を求める大多数の県民の声を真摯(しんし)に受け止めてこそ、日本は真の民主主義国家たり得る。参院選公示を受け、この点をあらためて確認しておきたい。
 国土面積のわずか0・6%の沖縄に在日米軍専用施設の74%が集中する現状はあまりに異常だ。それに加えて、基地を拒む地域住民の意思を一顧だにせず、一方的に基地負担を押し付けることは不条理の極みだ。
 一地域の犠牲の上に成り立つ政治システムは、民主国家の在り方として大きな誤りであり、到底許されるものではない。いわゆる構造的差別に基づく「国益」などあり得ないと各党は強く肝に銘じてほしい。
 沖縄が長年、強いられてきた「差別と犠牲」の象徴が、普天間移設問題だろう。仲井真弘多知事をはじめ、県内全41市町村長、県議会、全市町村議会がこぞって県外移設を求めている。これ以上の民意があるだろうか。
 日米両政府は、名護市辺野古移設に固執しているが、日米合意自体がとっくに有名無実化している現実を直視すべきだ。
 米有力紙ニューヨーク・タイムズは社説で在沖米軍の県外移転を主張したほか、米軍事戦略に影響力を持つシンクタンク、ランド研究所は、第31海兵遠征部隊(31MEU、約2千人)以外の在沖海兵隊の米本土移転を提言している。
 米国の深刻な財政事情などが背景にあるが、米国内の安全保障専門家らから、海兵隊の沖縄駐留を疑問視する声が出ている。日本政府は、こうした情勢の変化にもっと敏感になるべきだ。
 沖縄選挙区は、社大党現職と自民党新人の事実上の一騎打ちだが、ともに普天間の県外移設を主張する。ただ、自民党本部は公約に辺野古移設を明記し、ねじれが生じている。自民県連が沖縄の民意を踏まえて県外移設を貫いたことは評価できるが、党本部を県外移設に政策転換させる道筋をきちんと提示すべきだ。社大現職も「即時閉鎖、県外・国外への撤去」をどのように実現するのか丁寧な説明を求めたい。
 県外移設を選挙戦のリップサービスに終わらせることなく、真っ向から切り込んでもらいたい。