熱中症急増 適切な予防で快適な夏を


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 日本列島を猛暑が襲っている。9日も午前中から東北南部から九州・沖縄にかけて広範囲で30度以上の真夏日となった。猛暑で注意が必要なのが熱中症だ。症状が重くなると生命に危険が及ぶこともあるので、適切な予防法や処置の仕方を広く共有する必要がある。

 県内で6月1日から29日までの熱中症発症数は138人に上り、昨年同時期の90人の1・5倍近くに増えている。12日には那覇市の70代の女性が熱中症で心肺停止後に死亡した。7月はさらに急増し、1~7日までの7日間で77人が急患搬送されている。7月は環境省が予防月間に定めるほど発症者が急増するので、警戒を緩めないことが大切だ。
 熱中症は従来、多くが高温の環境下での労働や運動が原因で発生していた。しかし、最近では屋内など日常生活での発生が増えている。体温調節の機能が低下しているお年寄りや発汗機能が十分発達していない小児は熱中症の危険度は高い。周囲の目配りが必要だ。
 熱中症は高温などで体内の水分や塩分の均衡が崩れたり、体内調整機能の破綻によって発症する。めまいや立ちくらみ、汗を拭いても出てくるなどの症状は重症度1度だ。頭痛、吐き気、体がだるいなどの症状は2度で、意識がない、けいれん、返事がないなど命の危険がある症状は3度だ。
 現場での応急措置は重症度によって違うが、意識がある場合は水分や塩分を補給させ、風通しの良い日陰や冷房の効いている室内などに避難させたい。重症者は体温の冷却をできるだけ早く行う必要がある。救命できるかどうかは体温をいかに早く下げることにかかっているからだ。氷のうで首や脇の下、太ももの付け根に当てて皮膚直下の血液を冷やすことも有効だ。意識がなければ救急隊の出動も速やかに要請すべきだろう。
 熱中症にならないための適切な予防を知っておくことも大切だ。暑さに備えた体力づくりや体温を上げないよう服装にも工夫を凝らそう。外出時は日陰を選んで歩き、帽子をかぶるなどの対策を取りたい。炎天下で帽子も着けずに歩く男性の姿をよく見掛ける。男性にも女性のように日傘を差す習慣を広げたい。
 これからさらに猛暑が続く。こまめに水分を補給し、扇風機や冷房を使って室内の温度に気を配るなど、適切な予防法で夏を快適に過ごそう。