認可外防音対策 地域内の全施設で実施を


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 航空機の騒音被害を受ける米軍基地周辺の認可外保育施設が、防音対策工事を実施する際に国の補助金の対象外となっている問題で進展があった。

 小野寺五典防衛相が認可外施設も補助対象に加えるための経費を2014年予算の概算要求に盛り込む考えを示した。仲井真弘多知事と本島中部の関係市町村長らによる要請に対して、「概算要求に向け、積み上げていく」と発言したものだ。
 この問題が広く知られるようになったのは5月20日付の本紙報道などがきっかけだが、それに自治体や議会が素早く反応し、沖縄防衛局などに認可外施設を補助対象とするよう相次いで要請。保育所関係者や親たちも声を上げ、県や国会議員らがこれに呼応した。
 健全な世論、良識ある市民の意見が世の中を変えていく好例と言っても過言ではあるまい。防衛省が遅ればせながら、たなざらしになっていた問題の解決に乗り出しこと自体は一定の評価をしたい。
 認可外施設はこれまで、児童福祉法上の対象施設に該当しないとして、助成の対象外とされてきた。防音工事などについて直接定めた防衛施設周辺生活環境整備法などに基づくが、ただ認可外施設を防音補助対象に加えるためには必ずしも法改正は必要ではなく、同生活環境整備法施行令や防衛相訓令の改正などで早期に対応することが可能だという。防衛相の発言にはこうした背景がある。
 実際、北海道の陸上自衛隊矢臼別演習場周辺で、「へき地保育所」である認可外2施設に補助している。だとすればなおさら、なぜ今まで爆音にさらされている乳幼児たちへの対応が放置されていたのか。問題に気付かなかったというより、やはり怠慢ではないのか、あらためて指摘しておきたい。
 県福祉保健部によると、嘉手納基地と普天間飛行場周辺の補助対象地域内で対象から外れている認可外施設・乳幼児は97カ所、3514人に上る。認可か認可外かで、子供の保育、教育環境に差があっていいはずがないことは、もはや言うまでもない。
 防衛省は今後、8月の概算要求に向けて財務省と調整を急ぐことになろうが、補助地域内の全ての認可外施設を対象に加えるのが筋だ。財源のめどが付くなら、何も14年度と言わず、全国の認可外施設と合わせてすぐにも工事を始めてもいいぐらいだ。