参院選 世論調査 投票率の向上促す論戦を


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 琉球新報社が共同通信社と合同で行った県内有権者への電話世論調査で、回答者の74・4%が参院選に関心があると答えた。2010年の前回参院選の同時期調査からやや低下したが、昨年12月の衆院選時を3・7ポイント上回っている。

 県内では最近の選挙で投票率の低下が顕著になっている。低下は全国的な傾向でもあるが、沖縄は極端であり、10年参院選では全国の最下位だ。
 若者の関心低下が毎回指摘されるが、今回からインターネットの選挙運動が解禁されており、関係者には選挙への関心を高めるような取り組みを求めたい。
 今調査では米軍普天間飛行場に垂直離着陸輸送機オスプレイが12機追加配備されることについても聞いたが、「配備すべきでない」との回答が82・3%を占めた。12機を載せた運搬船は16日に米本土から出港しており、今月最終週には山口県の岩国基地に到着、来月上旬にも普天間に飛来する。
 県知事や県議会、県内全ての市町村と議会の反対にもかかわらず、昨年10月に最初の12機配備が強行されたが、各党は8割を超える大多数の県民世論が追加配備に反対していることを真摯に受け止め、配備済みの12機を含めて計画見直しを日米両政府に求めるべきだ。
 一方、普天間移設問題に関する質問では、両政府が進める名護市辺野古移設を容認する意見は9・9%にとどまり、国外・県外移設や無条件の閉鎖・撤去を求める意見が合わせて73・8%に上った。各党は県民の4分の3が反対している重みを踏まえ、民意を生かす具体策を提起すべきであろう。
 参院選の動向を探る共同通信のトレンド調査では、投票の際に重視する課題として「景気や雇用など経済政策」や「年金や医療など社会保障制度」に有権者の関心が高いことが明らかになっている。
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」の是非も大きな争点だが、各政党には設備投資や雇用の拡大、賃金上昇などの実体経済の回復を促す具体策をぜひ競い合ってほしい。
 医療・介護や年金、子育てなどの社会保障は、論戦が深まっているとは言えない。年金支給開始年齢の引き上げ、医療費の窓口負担引き上げなど国民の負担増を伴う課題も正面から議論すべきだ。
 参院選はあと3日。各党や候補者には丁寧で分かりやすい論戦を通して選挙戦を盛り上げてほしい。