水難事故防止 親子で安全意識高めよう


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 県内の多くの小中高校は20日から夏休みに入る。本格的なレジャーシーズンの到来であり、海や川などに出掛ける機会も増える。豊かな自然との触れ合いは、人々に大きな喜びと感動を与えるだけでなく、子どもたちをたくましく成長させる。

 その一方、夏場は水難事故が多発する時季でもある。水と親しむためのルールや危険を未然に回避する手だてなど安全意識を高める必要がある。夏休みを楽しく有意義に過ごすためにも、この機会に親子や地域で真剣に話し合ってもらいたい。
 沖縄の青い海を目当てに訪れる観光客も多い。観光立県として観光客への注意喚起も強化していかなければならない。
 県警地域課のまとめでは、ことし1月から7月18日までに29件の水難事故が発生し、観光客7人を含む19人の貴い命が犠牲になっている。前年同期より5人多い。
 同課によると、事故を起こす人のほとんどはライフジャケットを着用していないという。また、シュノーケルの仕組みや取り扱いに不慣れで、海水を飲み込んでパニックになって溺れる事故も多発している。
 裏を返せば、ライフジャケットを着用していれば、事故が未然に防げたケースもあったはずだ。シュノーケリングの正しい知識と技能の普及促進を図ることも引き続き大きな課題と言える。
 とりわけ、子どもたちの水難事故を未然に防ぐためには、大人たちの役割が極めて重大だ。海や川などで泳ぐ時は必ず大人が同行し、複数の目で子どもたちを見守るようにしたい。
 監視員や救助員のいない場所での遊泳も、なるべく避けるようにしたい。周囲をサンゴ礁に囲まれた沖縄の海岸では、離岸流が発生しやすい場所も多い。サンゴ礁の切れ目で沖合に向けて発生する急な潮流に巻き込まれると、泳ぎの達者な人でも溺れてしまうほどだ。よくよく知らない海での遊泳は避けることが賢明だろう。
 海には危険な生き物も多い。イモ貝の仲間のアンボイナやハブクラゲ、オニダルマオコゼなど猛毒を持ち、刺されると命に関わるケースもある。そうした危険生物の生態を知り、安易に近づかないことが安全対策の第一歩となる。
 畏敬の念を常に忘れることなく豊かな自然と触れ合いたい。