若者県系人大会 成果を沖縄変革の糧に


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 18日(日本時間19日)から4日間にわたり米国ロサンゼルスで開かれていた第2回世界若者ウチナーンチュ大会は、多くの成果と感動を生みだし閉幕した。大会の成功を心から祝福したい。

 世界9カ国の県系社会から若者や関係者ら約100人が参加し、ワークショップやグループ討論などを通じ、沖縄の言語、文化、芸術、社会問題、歴史などを学んだ。
 昨年の第1回大会ではスポーツや市町村ごとの「交流」を重視したが、今回は人と人がつながるだけでなく「何かを生み出そう」と、積極的に「学び」を取り入れた。大会を進化させた若者らの主体性は、同じウチナーンチュとして誇らしい。若者たちの創意工夫、行動力に敬意を表したい。
 今大会は基地問題の分科会もあり、沖縄の現実と向き合った。
 父親が米軍関係者だという若者は「沖縄を訪れた時に市街地の上を米軍ヘリコプターが飛んでいてびっくりした。米国ではこんな環境はあり得ない」と話し、米国の二重基準に驚いた。沖縄戦で多くの犠牲者を出した沖縄は平和の発信地である半面、ベトナム戦争では出撃基地として使われたとして、アジアの視点で沖縄の「加害性」に言及する意見もあったようだ。
 このような真剣な議論は、沖縄の基地問題に風穴を開ける可能性をはらむ。世界に広がる沖縄社会全体で米軍基地が沖縄にもたらしている影響について議論を深めれば、「植民地扱い」と指摘される沖縄の現状を変える新たな知恵とエネルギーが必ずや生まれよう。
 大会初日に、世界若者ウチナーンチュ連合会(WYUA)北米支部のグラムコウ・與古田樹支部長が「この経験をそれぞれの故郷へ持ち帰り、次世代の沖縄の歴史をつくろう」と強調した。参加者は大会を通じこの思いを共有し、所属する県系社会に成果を広げようと、取り組み強化を確認した。沖縄からもエールを送りたい。
 「その国の未来を見たければ、その国の若者を見ろ」。WYUA沖縄本部代表の玉元三奈美さんは今年1月、本紙へ寄稿したコラムにこう記した。重い指摘である。
 沖縄社会全体として次代を担う若者とどう向き合っているか、彼らが心置きなく学び、羽ばたいていける機会や環境を準備してあげているか。若者ウチナーンチュから先輩世代が学ぶべき課題も多い。